変わらぬもの
「…… … …ぉ……っ」
起きたくない。
そう思うほど心地よく感じた。
体が吸い込まれていくようで、瞼は重々しい。
「おい!小僧!!」
「!!!!!!?」
「お前!!色が!!」
異様な匂いと共に僕は光のある世界へ意識を戻された。
目を開けると、見覚えのある木々と横には祠があった。
しかし、煙たい匂いがした。
軋む体を無理に起こしたが立つことは難しく、声もろくにでない。
目の前に広がったのは
確かに見覚えのある、祖母の畑の裏の木々と広すぎる大地と森、大きく萌えている炎とそれを囲む自分と違う人種である。
焼けた肌に黒髪ではない髪色と、同じ緋色の瞳をしている。
しかも、1番驚いたのがもはや人間ではない翼の生えた生き物もいることだった。
目が覚めて、声をかけた、ガタイのいい緑色の髪の男性は何故か俺に鈍物を向けていた。
「おいどうした?」
後ろの群れから1人の男がその男に声をかけ、それから少年を見る。
すると、血相を変えて突然呼びに行くと走り去ってしまった。
非現実的な光景と突然の出来事に少年は思考停止していた。
体が動かなければ声も出ない。
なにも出来ずただただ、自分を凝視し、騒ぐ物を見ていた。
炎の後ろには気づけなかったほどの大きくて立派な洋風な家がある。
その奥の扉から、何人か先ほどの翼の生えたユニコーンにも似た動物にのった男たちと、その真ん中をあるく赤き髪の青少年がやってきた。
「おい!ロクロの奴が侵入したとは本当か!?」
赤き少年は自分よりも大きな物にずけずけと物申した。
巨体が渋い顔をした。
「…ゼハ、、こいつロクロでもうちらの属でもない。点のものだ。」
青少年は驚き何故か祠を見た。
そして、少年の側を走り抜け祠をむりくりあけた。
「、、ないぞ。」
その瞬間、少年は胸に痛みを覚えた。
すると胸に刺さっていた欠片が空を指した。
「まさか…ナナセの欠片はあっちに…!?」
外のざわめきと非現実に少年は耐えきれず意識をまたしも手放した。