疑問
9a.m
家の騒がしさと同様に裏の畑も冷たい風に煽られてざわめいていた。
頑として立ち続けていた母の特等席はしっかりと土が削られている。
そのそばにあるのが《祠》である。
痴呆の母が馬鹿げた事を言っていたのもここであった。
家では道楽であったのに、非常に穏やかでしかしどこか切なげな顔をしたのもここである。
なにか神に願い事なのか、それともなにか下に埋まっているのかなど様々考えもしたが、母の口から出る言葉上、現実に考え難いものだった。
「それとも、何か中に隠しているんだろうか。」
少年はふと思いついた言葉に、疑問もつらつらあったが、気になってしまった。
一体なぜこんなところに祠があるのが。
まぁ、田舎なのだ、沢山あるようなイメージもあるがあの母が痴呆になって興味を示すくらいには何かあるのだと考えた。
人間が作ったところだしな。
少年はそっと小さな扉の中をのぞき込む。
確かにそこにはなにかがあった。
常識もある少年にとってそれを取ることはできない。
例え人間が作ったものとはいえ、霊がいないとまでは言わない。
事実見たことはないが、あらゆる国では見るということから、信用はしていた。
まぁいいか。
あるものは置いて、少年は家に帰った。