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由宇との別れ
安田君という喫茶店でバイトしている大学生と仲良くなった。
とりわけ人見知りな私が初めて男の人と二人で話すなど考えもしなかったのだが、彼の優しさに救われて楽しい毎日を過ごした。
そのうちに由宇とは疎遠になり
いつしか彼女はいなくなった。
私は初めての彼氏が出来たからと浮かれてばっかりで、彼女のことなど目に入らなかった。
彼女の強引さと、目に見えない優しさと励ましで、今の状態にいられることを私は全く気付いていなかった。
気付いてないと言うより、自分で此処まできたんだと思っていた。
だから彼女が仕事を辞めたからといって、別段何の感情もわかなかったし、それよりもウルサいのがいなくなってホッとしたような気持ちさえした。
彼しか見えてなかった。
門限なんて関係なかった。
寮を出て彼のところに入り浸った。
仕事に身が入るわけもなく、ミスも増え、職場では孤立するようになった。
でも私には彼がいた。
だから淋しくなんかなかった。




