出会い
何度か喫茶店に通い、店員さんとも仲良くなり充実した日々を過ごしていた。
ある日、その喫茶店に行くと店員さんが変わっていた。
人見知りが発動した。
お茶だけ飲んで帰った。
私の密かな楽しみが無くなってしまったのか?
焦燥感でいっぱいだった。
職場の食堂でひとりテレビを観ていると、由宇がご飯を食べにやってきた。
『おー、ひとみ、久しぶりやなぁ。最近喫茶店通ってるんやて?』
恥ずかしくて見る見るうちに高揚するのがわかった。
『店員変わったやろ? 前の店員さんと同じ大学の子やから大丈夫やで』
まるでみていたかのような言葉だった。
彼女は、私が人見知りなのを知っているし、多分そんなことやろうと思っているのだろう。
当たっているだけに、悔しくて、情けなくて泣きそうだった。
いや、私は強くなる。
泣かない。
せっかくやから参考にしよう。
またまた意を決した私は勇んで喫茶店に向かった。
そして私は彼に声をかけようと試みたが
これがなかなか難しい。
モゾモゾ、モジモジしてたんだろうか。
彼の方から話しかけてきてくれた。
『よく来られますよね。伊藤君から聞いていました。』
伊藤君とは前にいた店員さんだ。
『僕、安田といいます。ひとみさん?ですよね』
私の最初で最期かもしれない楽しい時間の始まりだった。




