始まり
高校を卒業した私は、専門学校に行こうと思っていたが、見事に落ちた。
仕方ない。
とりあえず仕事を見つけた。寮があったから迷わず入った。
秋にもう一度試験を受けることにした。
同じような状況の女の子がいたが
友達になりたいと思うようなタイプではなかったが、ひとりは寂しいのでよく一緒にいた。
勉強は苦手だった。
でも意外と可愛かったから、まわりの人にはよくしてもらってたんだ。
そう………彼女がやってくるまでは。
夏になる少し前、突然職場にやってきた。
面接だった。
試験は満点だったらしい。
同じ年だから仲良くして、いろいろ教えてあげてと言われた。
何日か一緒に勤務したら、あっという間に覚えてしまって、いろんな部署の人からも知られるところとなった。
田舎から出てきて、引っ込み思案な学生生活を送っていた私が、やっと日の目を見れた場所がなくなった。
そんなもんだろう。
私のこの立ち位置は多分ずーっとこのまま
人の後ろでひっそりと生きていくだけなんだと確認した。
でも彼女は違っていた。
今まで私の周りにいた、私を引き立て役にして自分を目立たそうとする気配がなかった。
何故なんだろう。
私はとても興味が湧いた。
もっとどんな人かを知りたいと思った。
それが間違いの始まりだった。