僕は君のことが嫌いだ。
「僕は君のことが嫌いなんだ」
「ありがとう」とにこりと微笑みながら神崎麻也は言った。
通常の戦場に見せる、感情を表す事の無い声とは違い、小さくて穏やかな言葉だった。
「僕に無いものを君が持っているから」
麻也は穏やかな瞳を僕に向けて問う。
「そう。貴方も私が所有していないものを持っているのに?」
その通りだ。僕は彼女に理想を求めた。
それ故に、歪んだ鏡はもう見たく無い。
麻也は緩やかに流れる白と銀が交ざりあった髪をかきあげ、落下する太陽を見上げながら囁いた。
「私を殺してくれるの?」
まるで太陽と天からの祝福を今まさに受けているかのに、歓喜の声を上げた。
「僕には自分を殺す事など出来ない!」
ぬるりと僕の方に顔引き寄せると駄々をこねる子供をあやす様に、「だったら私と一つにならない?互いの境界を無くし、一つの個体として生まれ変わる」先ほどまでの歓喜の波は彼女から遠ざかりただ純粋な音だけが発せられた。「いやだ!」
彼女と一つになんてなりたくない。
「私と出合わなければ良かったね。」
じゃあまた後でと言い残し、麻也は立ち去ろうとした。
「風道君には何も言わないから。」
だから、僕は君のことが嫌いだ。
「僕は君のことが嫌いなんだ」
「ありがとう」とにこりと微笑みながら神崎麻也は言った。
通常の戦場に見せる、感情を表す事の無い声とは違い、小さくて穏やかな言葉だった。
「僕に無いものを君が持っているから」
麻也は穏やかな瞳を僕に向けて問う。
「そう。貴方も私が所有していないものを持っているのに?」
その通りだ。僕は彼女に理想を求めた。
それ故に、歪んだ鏡はもう見たく無い。
麻也は緩やかに流れる白と銀が交ざりあった髪をかきあげ、落下する太陽を見上げながら囁いた。
「私を殺してくれるの?」
まるで太陽と天からの祝福を今まさに受けているかのに、歓喜の声を上げた。
「僕には自分を殺す事など出来ない!」
ぬるりと僕の方に顔引き寄せると駄々をこねる子供をあやす様に、「だったら私と一つにならない?互いの境界を無くし、一つの個体として生まれ変わる」先ほどまでの歓喜の波は彼女から遠ざかりただ純粋な音だけが発せられた。「いやだ!」
彼女と一つになんてなりたくない。
「私と出合わなければ良かったね。」
じゃあまた後でと言い残し、麻也は立ち去ろうとした。
「風道君には何も言わないから。」
全てを見透かし、美しい笑みを浮かべて僕を殺す。
笑みには笑みを。
彼女に対する毒が僕の頭を焼焦がす。
「言えば?神崎の好きにすればいい。」
背筋が冷たくなり、声が凍える。
「やっぱり風道君には、言わないわ。だってその方が楽しいみたい。」