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高音が空気を揺らす

  「もう、夢前さんたら。知らない」雨に語りかけながら悴んだ手をポケットに突っ込む。迎えに来てくれると言ったのに。膨れる頬は純白のマフラーに沈む。その顔を以前見せた時の焦った彼(かなり珍しい)を回想し人知れず微笑んだ後、自分の顔が少し熱を持っていることに気づく。その事実は更に頬を紅潮させる。今彼が来ても顔を合わせられないな。そう思っていると「(もゆ)ちゃん」と何時の間にか眼前に居るショートヘアの女性が話し掛けてくる。日本人離れした彫りの深い顔立ち、眠そうな目。年は二十を少し過ぎたところか。「笹山(ささやま)さんも夢前さんを待ってるの」彼女が何回か彼と一緒に居るのを見たことがある。その度に胸が傷んだものだが、そう深い関係では無いだろうというのが自分の見解だった。「違う、私は如樹に言われてきたんだもの」頭が少し痛くなってきた。「ボク、一人で帰れるよ」そう抵抗するも、「如樹がそういうだろうって」と抑えられては仕様がない。振り向きショーウィンドに顔を映す。そこに居るのは黒髪をセミロングにし、不機嫌そうな表情をした自分だった。声を出さずに馬鹿と呟いた後、既に傘を差し歩き始めている笹山さんを追いかける。予行演習は済んだ、後は本人に言ってやるだけだ。


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