コウドウ・カイシ
デスゲーム開始から2日後。剛はバイクに乗っていた。剛は2日間、各世界がどのような動きをしていたのかを調べていた。
『魔法』の世界では、トップ集団、『紅蓮騎士団』がカテドラルの攻略に乗り出しており現在、紅蓮騎士団は4つの世界を合わせてもトップの集団となった。
『現代』では現代トップ集団である『連合軍』は軍備の強化を行っている。その他の世界に物資の輸出を行っている。
『近未来』は近未来トップ集団の『ギャラクシア』が装備の開発をしており、カテドラルの攻略にも積極的である。
『世紀末』は2位集団『猟犬』はカテドラルの攻略をしており、タケルが所属しているトップ集団の『陽炎軍団』は動きを見せていない。
「動きはこんなもんだな。少し遅くなったな。早く帰宅しないといけないな」
そう言って、バイクの速度を上げる。このバイクは近未来のアイテムで少し前にタケルが貯金で買った物である。スペックは、最高時速1100kmと恐ろしい速度を叩き出す事が出来るが専用のライダースーツが必要となる。ところで高校生であるタケルが何故バイクに乗れるというかと、システムが肉体を勝手に操作するからである。これはゲームの中であるが、限りなく現実に近く、感覚などは現実世界そのものである。システムに肉体を支配されるという事は、精神と肉体の分離。これは意外と怖いものである。だけどタケルは慣れているから、あまり気にならないようだ。
セブンスヘヴンの中はタケル以外の『陽炎軍団』メンバーがおり、何か凄い空気が漂っている。
「タケルハ、マダカネ?」
変な口調で話す男はフェリス。服装は黒いコートを羽織っており、ファスナーは完全に閉じている。コートで口までが隠れており、口の部分には逆さにしたドクロに銃と剣でバツが描かれている。
「後少しで来ると思うぞ?」
ガオウが本を読みながら言う。
「あいつは、時間にルーズ過ぎるんだよ。あのマイペースな性格、どうにかして欲しいぜ」
呆れながら言う男はクレイル。服装は赤のジャージで服に隠れているが、かなりの筋肉質な体である。
「まあ、タケルのマイペースが始まったのは今に始まった事じゃないから落ち着きなよ」
クレイルを落ち着かせようとしている男はスティーブ。服装は黒のTシャツに下はジャージである。
「分かっている。だがこれ以上はフェリスがヤバイぞ」
「ワタシハ、マダ、ダイジョウブネ」
「まあ、フェリスもそう言っているんだしいいんじゃないか?」
リーダーがそう言う。アイとミラは現在、買い出しに行っているため、ここにはいない。セブンスヘヴンの扉が開かれる。タケルが入ってきた。
「随分と遅いじゃないか」
クレイルが若干怒り気味に言う。それに続いてフェリスからも、
「モウ、スコシハヤクキテクレネ。コッチハ、タイクツシタヨ」
「悪かったて。これからは早く来るよ。アイとミラはどこに行ったんだ?」
2人に謝り、アイ達がいない事に気付き言う。
「今、都会に情報収集と買い出しに行っているぞ。」
タケルの疑問にリーダーが答える。
「そろそろ、始めてもいいんじゃねえか?アイとミラ抜きでもいいんだろう?」
ガオウがリーダーに向かって言う。その言葉に反応し、リーダーが話を始める。
「今後の行動として、ガオウ、俺、アイ、ミラ、スティーブはここに残り、情報収集。フェリス、クレイル、タケルはカテドラルの攻略。それでいいな?」
リーダーが言う。情報収集の方が多いがメンバーの長所を活かすとしたら、その方がいいだろう。フェリスやクレイル、タケルの立ち位置は戦闘をメインとした前線部隊。それ以外は、戦闘はなるべく避け、情報収集を主とした後方支援を得意とする後方部隊。ちなみに、前線部隊の職業はフェリスが暗殺者、クレイルがゴットハンド、タケルが死神。暗殺者は暗殺を得意とする職業でその上級職にあるのが死神。ゴットハンドは格闘戦を得意とする職業である。メンバー達がリーダーの問いに答える。
「異議無し」
「右に同じ」
「イギナシ」
「同じく」
「異議ないな」
それが、メンバーの答えだった。リーダーは安心し、そして言う、
「行動開始!!」
その言葉と共に前線部隊はセブンスヘヴンから消える。カテドラルに向かっただろう。ガオウとスティーブが情報収集に向かう。リーダーもセブンスヘヴンから出て、何処かに向かう。
カテドラル第1層。攻略隊が既に攻略を終えていて、テレポートで最前線である第60層の都市に行けるが、3人は第60層の都市まで、誰が最初に着くか競争という事になった。
「道が丁度3つに分かれているな。じゃあ俺は右行くぞ」
「ワタシハ、マンナカネ」
「俺は左だな」
ちなみに、ボスは復活しているのだが、3人はそんな事を気にしていない。というより、どうやって早く行くのか考えていた。
「それじゃ、スリーカウントで行くぞ」
タケルが言う。2人はそれに頷く。
「3、2、1……スタート!」
3人はそれぞれの道を行った。
フェリスは、姿勢を低くして走っていた。速度はかなり速い。モンスターが出て来て攻撃してくる。フェリスはそれを回避して先を行く。
(ココガハズレジャナケレバ、イインダケドネ)
最初の道は何処を進んでもボスの部屋に辿り着けるが、罠がある道や遠回りの道や近道と、選ぶ道によってはかなり楽になる。まあ、この3人にとっては早くなるか否かの違いだが。
道を塞ぐ巨大なモンスターが出てくる。フェリスは止まる事無く、モンスターに突っ込んで行く。
「グオオオオオオオオオオオオ!!!!!」
モンスターの攻撃をフェリスは回避し、片手剣を取り出し攻撃する。モンスターは一撃で倒れる。
『暗器使い』暗殺者の職業スキルで相手の予期せぬところから武器を出し攻撃するスキルで相手は回避不能である。
フェリスは走り続ける。
クレイルは現在は大量のモンスターと戦闘していた。雑魚モンスターが行く手を塞ぎ、ウザい事、これ以上無い。
「さっさとそこをどけ! 『マシンガンナックル』!!」
目にも留まらぬパンチの嵐。雑魚モンスター達はこれで一掃されていくが、雑魚モンスターは更に出て来る。
「うぜええええええ!!!! これでも食らえ! 『ライフルナックル』!!」
轟音と共に、多くのモンスターがぶっ飛ぶ。クレイルは少しづつ進んでいた。
タケルは走っていた。道にモンスターもいなく、罠も無い、平凡な道だった。正直退屈と思っていた。そんな事を考えていると、ボス部屋の前まで来ていた。どうやら当たりだったらしい。
「それじゃ、行きますか……。」
ボス部屋を開ける。目の前には巨大なガイコツ。剣と盾を持っており、周りには取り巻きがいる。
「じゃ、遊んでやるよ」
タケルがボスに向かって走り出す。取り巻きがタケル達に近付くがタケルは袖からナイフを出し、攻撃する。タケルも暗器使いのスキルを持っており、更に色々と強化されている。
ボスが剣で攻撃する。タケルは回避し、マグナムで攻撃する。
銃の名前はスーパーブラックホーク。精密な射撃と威力、ハンドガンにしては両立しており、タケルが愛用している。
ボスに少しダメージを与えたが、攻撃は止まらない。
「あ〜。意外と硬いな。予想外だ。……これならどうだ?」
タケルの目が少し蒼くなる。そして素手でボス本体を攻撃する。ボスの体が崩れていく。
「流石無刀流免許皆伝。強過ぎるな」
『無刀流免許皆伝』。ユニークスキルの一つで素手での攻撃で弱点を突くと、一撃で倒す事が出来る。
「さて、次行こうか」
タケルは扉を開け、第2層に行く。少ししたらフェリス、クレイルの順にボス部屋に辿り着き、ボス部屋を突破している。クレイルが突破したころはタケルは第4層でフェリスは第2層だった。
誰が最初に第60層辿り着くのか!?