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On the way to a Smile  作者: イクミ ショウ
1章~追憶~
4/11

第3話 中学1年

 中学に入ってまもなく、俺は晴馬はるまに誘われて剣道部に入った。

 特に興味のある部活も無かったから誘われるがままに入部してしまったが、これがまた楽しく、先輩たちも気さくな人で、入部から1週間もするころにはすでに部活を楽しんでいた。


 晴馬が何を思って剣道部を選んだのか知らないが(まあ特別大した理由でもないだろうけど)、

 俺を誘ったのは少なからず気遣いでもあるんだろう。

 父さんがいなくなって、きっと、俺も少し落ち込んでいたんだろう。そういうことは晴馬には簡単に見破られる。


 まあ何であれ、俺は幸先のいい、楽しい中学生活をはじめたのだった。


 もちろん、楽しい理由は部活だけじゃない。


 「お~い!勝(しょう、)晴馬~」


 2人で帰っていたところを呼び止めた声は、外崎拓とざきたくのものだ。


 「お~す」

 「おお、タク」

 「おっす」


 俺と晴馬と拓は同じクラスで、拓は中学に入ってから最初にできた友達だ。


 「2人は剣道部帰りか?たいへんだなあ~」

 「まだ筋トレばっかりだよ。それにタクだって陸上部だろ?お前も大変だろうが」

 「いや~、ウチ割とゆるいんだよな~。それに僕、あんまり運動得意じゃないし、まあ適度にやってるかんじ」


 なんだそりゃ。


 3人でくだらない話をして、笑いながら帰る。

 そういうのが楽しくて、俺はいつも明るくいられた。


 ちなみに、

 もちろん晴馬や拓以外に友達はそれなりにいたが、よく遊ぶのはだいたい晴馬に拓、それに先輩含め2・3人で、あんまり多くの人と関わったりはしなかった。

 なんでかというと、そういう性格だからとしか言いようがない。

 別に無口とか根暗とかでもないんだけど、なんというか100人の友達より1人の親友みたいな、

 やたら友達増やすよりかは、少数でも親しい友達をつくりたい。もとからそういう考え方だった。

 

 それは多分、昔から

 小さな枠の中の温もりに囲まれていたからだろう。




 「ただいま」

 家の玄関を開けて、誰もいない部屋に向かって言う。


  離婚以降、母さんは遅くまで働いている。

 帰ってくるのはいつも俺より後だ。


 だから


 「ただいま、勝。遅れちゃったかな」

 「いや別に。おかえり母さん」


 感謝してるんだ。

 反抗期とかにもなってるかもしれないけど、本当に感謝してる。


 別にマザコンではないけど。





と、そうして日々を過ごしていると、


 剣道の練習試合が訪れた。


 この試合には団体戦で俺も晴馬も出ることになった。俺たちにとっては初めての、他校との試合だ。



 試合当日、


 相手の中学に行き、挨拶をして、合同練習を始める。


 今回の試合は両校とも1年生だけで行われる。合同練習をしていても、なるほど俺みたいにまだ拙い奴が敵側にも多い。

 俺と晴馬は中学からの素人だが、条件は向こうも同じだろう。勝てないわけじゃない。

 まあ中には中学よりも前からやっている奴もいるけど。


 団体戦。先鋒、次鋒、中堅、副将、大将と続く5人対5人の試合で晴馬は次鋒、俺は中堅になった。

 先鋒と大将は小学生の時から剣道を続けている2人で、副将は俺らと同じ素人だった。


 さて、


 「正面に礼!互いに礼!」

 「お願いします!!」


 試合が、始まった

 

 

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