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求めるもの

 「笑顔」が欲しかった。

 

 擦り切れて、摩耗して、

 いつからか、俺は「笑う」ことが無くなっていた。


 もちろん、生きているんだ。

 テレビや漫画で笑ったり、愛想笑いくらいはする。


 でも、違うんだ。

 空虚な笑いを重ねたって、あの日の笑顔には敵わない。


 遠い昔。

 特別に何かを意識しなくたって、

 自然と、心から笑うことができたんだ。


 でも今は、笑えない。

 素直に笑うことができなくなってしまった。


 俺は思い出に憧れて、後ろを見てばかりで、

 未来を消してしまった。

 

 全てを、消してしまったんだ。


 「あんたなんて、もう私の子じゃない!」


 「私、‥お兄ちゃんのことがわからない‥」


 家族の温もりを。


 「これ以上‥ついていけないって‥」


 「君とはもう、友達ではいられないんだよ‥」


 友達の温もりを。



 そして、


 「ここまでだ」


 たった1人の親友さえも、


 「もう付き合えねえ。逃げたいのならそうしろ、俺は前に進む」


 周りにあった温もりを、俺が消してしまったから。



 もしも、

 こんな俺でも、

 1つ願い事をしていいのなら、まだ望みを持っていいのなら、


 俺は、




 あの日の笑顔を、取り戻したい。


 

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