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死姫のヒミツ  作者: 猫柳
第三章
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幕間  傍観者の呟き

白み始めた空の低いところに、透けてしまいそうな満月が浮かんでいる。あと十数分もすれば、月はその姿を消してしまうだろう。


疲れのたまった体を軽く伸ばし、僕は小さく欠伸をした。


久しぶりの王宮という堅苦しい場所は、相変わらずどうも慣れなかった。不審者扱いされてしまったし、いくつか眉をひそめられる場面もあった。自分は随分と人に慣れたと思っていたのに、未だ人と異なる部分が多々残っているらしい。不信と好奇の入り混じる視線に耐え切れず、騎士に送迎させるという申し出は丁重に断った。


『恐れながら、何故貴方は犯罪者の種に武器を与えるような行為をしたのですか』


王宮にいた、黒髪の騎士は僕にそう聞いた。


弱り、苦しみ、虐げられて叫びを上げる者に、立ち上がり方を教えるのは罪だろうか。僕は、赤い烙印を背負う者達にに自信を与えたかった。居場所を与えたかった。


けれど結局僕は、あの日の過ちを繰り返しただけなのかもしれない。現にその身を守るために与えた力は、他人に向かって牙を剥いてしまった。


「……デリエスタの方では、そこそこうまく行ったんですけどねぇ」


だから言っただろう、と仏頂面の上から目線で嫌味を言う親友の顔が脳裏をよぎる。精霊を通じて僕の失態を聞きつけたら、彼はこれ幸いと僕の動きを制限しに掛かるに違いない。人間に余計な肩入れをしても良い事などひとつもない、と言って。


けれど、僕は反省こそすれ、後悔はしていないのだ。


助言と、知識はエルヴァーレンの王宮に残した。これで傾いた天秤は元に戻り、これ以上僕が出る必要もないだろう。あとはただ見守るだけ。傍観者として、離れたところから運命の行き着く先を眺めるだけ。長くはかかるまい。全てを見届けて、また他国の様子も見に行こう。



ここから先は、神には手出しの許されない、人同士で解決すべき問題となるだろう。



特別出演のフィーア、マリアナ、ヴェルの出番はここまでとなります。

次話から第四章。明日投稿します。

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