表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
死姫のヒミツ  作者: 猫柳
第三章
PR
34/44

第三十三話  月満ちた舞踏会4

月明かりに照らされた青白い風景を背に、女はゆるりと笑みを浮かべた。

風を孕み、僅かにたなびく黒い髪。長い睫毛に彩られた瞳は、薄闇の中でも美しい緋色の輝きを見せる。


「貴方が、アリシア姫?」

「……そうですが。私になにか御用でも?」

「そうね。一度見てみたかったのよね。あいつのお気に入りってのが、どんな人なのか。でも、本当に会えるなんてね、びっくりしたわ。本当に会いたかったのよ」


ちらり、と横目で確認すると、既にマリアナ姫達の姿はない。女もそれを追いかけようという気配はなく、完全に目標が私に移っていることが分かった。

黒髪紅眼。目撃情報と一致する女だが、さっきから侵入者を見ていたところ、どうも黒髪紅眼の者ばかりいる。彼女が魔術師なのかどうか、今いち確証は持てない。


(……ていうか、多すぎないか?普通そうそういないだろ、赤目の人間なんて)


私が首を傾げつつも女の挙動に気を配っていると、女はクスクスとひとしきり笑った後、とびきりの笑顔を浮かべた。ひどく冷たい満面の笑みを。


「私、王族嫌いなの。だから貴方に会いたかったわ。殺すためにね」


……病み娘さん、いらっしゃーい!またこの展開か!!


殺気がたっぷりと込められた斬撃を紙一重でかわし、私は心の中で絶叫する

もうホントその病んだ目をどうにかしてくれ。女の子ってのはねぇ、無垢な笑みが一番なんだよ。明るく生きてくださいよマジで!怖いよ!

私情で騎士団に飛び込んで女らしくないことばかりしている私が言えることではないが、憎しみに燃える女って、怖い。……私も二の舞にならないように注意しようか、とちょっと考えたが、やはりあの男の前に再び立つことがあれば、きっと私もこんな顔をするのだろう。


女は強かった。ヴェルが強いというだけの実力者だった。慣れないドレスについ防戦一方となり、ジリジリと体力だけが奪われていく。少々まずい状況だ。

心の中で小さく舌打ち。もう一か八か、賭けに出るしかない。

私は女のひときわ大きい斬撃を跳ね上げると、スピードの緩んだ彼女の腕を掴み、懐に潜り込んだ。


「っ……!この……」


険しく歪んだ女の顔を間近で見上げながら、私は素早く相手の剣を毟って動きを封じる。お互い膠着した状態で、私は真っ直ぐに、彼女の目を見た。


「待った。君が王族を恨んでいる理由、教えてくれない?なんで恨まれてるのか知らずに死ぬのもやだし、もしなにか要求があるのなら、できる限り聞くよ。どう?」

「……、はぁ?」


にへら、と私が笑みを浮かべると、女は忌々しげに、私を睨みつけた。それから女は呟く。苦しげな、数段低い声で。


「……理由なんて、決まってるでしょ。貴方達が私達をどれだけ迫害したのか。……知らないなんて言わせないわ」



  ◇◆◇◆◇



黒髪赤目。それがいつから忌み嫌われるものとなったのかは、はっきりとは分からない。しかし少なくとも、エルヴァーレン王国が建国された三百年ほど前には、既にその風習は大陸中に広がっていた。

黒髪赤目を持つ者は、魔の使いである。或いはかつて暗黒時代を生み出した、紅き魔女アリスの眷属の子孫である。彼らが直接害をなしたという記録は残っていないが、大陸の歴史を紐解けば、ちらほらと残る彼らに対する迫害の跡を見ることができる。デリエスタ王家に仕えるヴェルの一族もまた然り。彼らは王家に絶対的な忠誠を誓い、その優れた身体能力を全て国に捧げることによって、迫害をまぬがれた一族である。

エルヴァーレン王家でも、約二十年前――現王が即位するまでは、徹底した迫害政策が行われていた。ただでさえ少数である彼らはこの迫害により更に人数を減らし、今では探す方が難しい。

現在、エルヴァーレン王国では迫害政策を撤廃し、どちらかというと保護の姿勢を見せている。……が、深く根付いた認識、それに加え大迫害の傷跡は、未だ国中に残っていたようだ。


傷をつけた者は、そのことをあっさりと忘れる。しかし傷つけられた者は絶対に忘れない。何年も、何十年も、その傷跡を背負って生き続ける。


女はもう一度、私を睨みつけた。私はやや引き攣りながら、それでも笑みを返す。


「君の要求は、差別撤廃?それとも一族の保護?」

「聞いてなかったの?復讐よ、これは。なんか王族ボコしに行くっていう男がいたから、私もついてきたわけ。そうねー、貴方を殴れたらちょっとは気が晴れるかしら?殴らせてくれない?」

「殴るだけで終わる?」

「最後にちゃんと止めも刺してあげるから安心して」

「ごめんまだ死にたくないもんで」


あ、そう。と女はそっけない返事と共に、抵抗を再開する。遠目から見ればベタベタ至近距離で仲良しこよししている女二人に見えることだろう。

だんだん彼女を抑えきれなくなり、私は心の中で舌打ちをする。とその時、後ろから聞きなれた声が響いた。


「シアン!」

「……、ブライアンか!侵入者確保、手伝ってく――――」


ものすごいスピードで突進してきたブライアンに助けを求めようと私が振り返ると、ブライアンは私が掴んでいた女の手を振り払い、私の手を鷲掴みにし、そのまま勢い良く投げ飛ばしやがった。


「俺の幼馴染に何してんだこの女たらしがッ――――!!」


え、これどっから突っ込むべきなんですか。

設定多め。全ては私の無計画な執筆のせいです。ごめんなさい。

先に謝るべきは不定期な更新についてなんですが。マジサーセン。

これからは、頑張る(胡散臭い)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ