⑨ 対富寺捕縛作戦会議
赤木導です
日曜日を襲った豪雪、ボランティアに勤しんできました
そんなこんなで疲れて帰宅後、ケータイを充電しつつ、『SVT』の掲示板を見ています
静道彰『現段階、今回の黒幕は生徒会副会長の富寺卿侍と断定、犯行目的は俺たちの捕縛による支持率の向上だろう』
と、静道先輩がコメントしている。俺の考えと全く同じである
冴崎美咲『実際に犯行を行なった生徒会メンバーは何故、富寺の下についたのかが疑問』
五十嵐駿『そりゃ「俺たちを捕まえるときの支援をしたのならば知名度も上がって、次回の生徒会選挙で重役を手に入れる事ができる」とでも言われてやったんだろ』
鎌月舞『恐らくそうだと思いますね。そこも尋問して聞けば良かったのに』
荒威大『オペレーターが身柄は勝手にしろって言ってたから解放した』
冴崎美咲『私のせいだと言うのですか!?』
葉城七美『内部抗争は禁止ですよ〜。とにかく、敵は生徒会では無く富寺副会長とそれに協力している可能性がある人間って事?』
星霧麻菜『だろうね〜、面倒な事になって来たな〜』
裏寡香奈『敵が明確にわからない状況です。慎重に動く必要があるでしょう』
裁凪颯太『全軍突撃!!』
裏寡香奈『以前のように武道系の援軍を連れている可能性もあります、私たちの全軍突撃でも押さえ込まれる可能性が大きいです』
五十嵐駿『SVTのコンビネーションなら何が来ようと楽勝だろ』
冴崎美咲『もしかしたらそう思わせてこっちを釣ろうとしているのかも知れない。連続停電も釣りだった訳だから、富寺副会長は釣り好きかもな』
どんどんと話が進んで行く
だが不思議と話はまとまっていて、容疑者は現段階で富寺に決定
御奈沢雨羽生徒会長は恐らくこれを知らない、と、まとまった
俺たちはこれらの情報を調査しなくてはならない
冴崎美咲『っと、生徒会室の音声データの解析が終了。声紋データから富寺が居た時間を解析』
静道彰『流石だな冴崎。仕事が早い』
冴崎美咲『最新の会話を確認しました。時刻は昨日、土曜日の午後2時13分から午後2時33分』
本当に流石は冴崎。頼りになる
冴崎美咲『音声データを添付します、合計20分なので重いでしょうから、WiFiの使用を推奨します』
俺はWiFiなどと言う便利アイテムを持っていないのでスルー
冴崎美咲『生徒会室の隠しカメラの映像とリンクさせたところ、午後2時19分に生徒会室に数人の人影が確認』
静道彰『これは、さっきの生徒会役員の声だな』
荒威大『カメラには何人の人影が映っているかわかるか?』
冴崎美咲『富寺と思われる人影を含めて5人ですね』
静道彰『コイツ等で間違い無いか……何について会話しているのか聞いてみよう』
……なんか歯がゆい
まぁ、仕方ないけどな
これから俺たちはどうするべきか
取り敢えず、富寺を問いただす必要がある
明日は月曜日、富寺を校内で探す事ができる
毎週月曜日の放課後は生徒会の定例会がある
そこを突入して身柄を確保、鎌月にでも尋問させれば良いか
丁度、他の役員もいるだろうからそこで吐かせれば悪事が知れ渡り、報復にも成功する……
静道彰『赤木、いるか?』
っと静道先輩から生存確認された
『はい、何か御用でしょうか?』っと返す
静道彰『お前、今までの話を聞いて、これから何をするべきだと思う?』
何故俺に聞くのか……取り敢えずさっき思いついた事を……
『明日の生徒会の定例に突入して富寺が真犯人である事と目的の真偽を確かめて、そこにいる生徒会メンバーに見せしめれば報復になるかと考えています』
静道彰『なるほど。その作戦のデメリットはどこにある?』
デメリット……?
確かに……この作戦には欠点も少なくない
『突入する事で俺たちがSVTである事を証明するような事になるでしょう。あと、富寺も有罪になりますが、俺たちも有罪になる可能性があります。』
そこが問題だな。
突入やら尋問はどうにかなる
だけど、そこに一分の隙でもあれば、俺たちも悪になる
静道彰『デメリットはあるが、現状一番適している作戦はその作戦だ。放課後に生徒会室へ突入、制圧。その場で富寺を尋問して、他の生徒会メンバーへ富寺の悪事をさらす。任務は明日だ。これより、富寺卿侍捕縛任務の作戦会議に移る』
『『了解』』
メンバーによる復唱の文字が流れて、作戦会議が始まる
冴崎美咲『富寺についた生徒会メンバーはやはり、地位を餌に協力する事になったらしい。音声データから判明した』
よし……新たな情報
静道彰『解析ご苦労。だとすれば、生徒会メンバー内の危険人物は富寺とあの四人だけと断定。だが、他の人間が協力している可能性が有る、警戒は怠れない』
裁凪颯太『現代の戦いは情報戦だ。情報収集が必要になる』
鎌月舞『いえ、もはや情報収集の時間はありません。任務中に諜報班と突入班にわけて、同時進行で警戒体制を取りましょう』
星霧麻菜『突入の人員減らない?攻撃三倍の法則を考えるのならば相手が5人の場合こっちは15人必要。メンバーは13人しか居ないから全軍突撃でも厳しい戦いになるわよ?』
銀嶺静流『相手は非戦闘員、武装もしていないから少数人数で制圧できるはずだよ』
裏寡香奈『静道先輩と裁凪先輩がロープを使って窓から突入、荒威先輩と五十嵐さんが生徒会室の入り口から突入、挟み討ちで制圧できるでしょう』
荒威大『この冬場に窓開けている奴いるか??』
葉城七美『ストーブに細工をすれば辺りに煙を焚けます!そうすれば嫌でも窓を開けるでしょう』
鎌月舞『あとは閃光榴弾で視界を奪って突入。相手の抵抗は考えにくいですが、私は制圧が終了してから入ります。相手の心理状況もパニックに陥ってうまく聞き出せるでしょう』
突入作戦、決定かな
後は警戒班
水爪祥『僕は体育館について、警戒しましょう』
鷹宮幽麒『校庭を警戒する』
……俺も作戦に加わらないとな
『俺は突入班が突入した後の入り口付近の警戒を行ないます』
突入口警備、地味に重要な仕事が空いていたので俺がやろう
銀嶺静流『僕も入り口で警備しよう、一人だとカバーしきれないだろうからね』
冴崎美咲『どうせ私はオペレーターでしょ?』
葉城七美『私は隠密でストーブをイジってこればいいんだよねー』
全員の動きが決まった
任務はすでに始まっている
生徒会副会長、富寺卿侍の捕縛が最終目的だ
俺たちはSVT
Secret Volunteer Team
社会貢献が目的なのだ
だからこそ、社会にとって害悪な存在は俺たちが迎え撃つ
行くぞ
勝負だ富寺!
いよいよ強襲ボランティア 冬編もクライマックス
今、物語は最終決戦へと動き出す——!