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強襲ボランティア  作者: 永久院 悠軌
新学年編
55/55

戦いの後で

棒倒しを制したのは。意外にも俺たちギミックだった

もっと強いチームがあってもおかしくなかったのだが、他のチームはオペレーターという役職がいなかったため、勝利までたどり着けなかったのかもしれない

「お疲れ様です」

俺がギミック本拠地である教室に帰ってくると、バツの悪そうな顔と、喜びの顔を足して二で割ったような根暗少女がいた

「ああ。おつかれさん。少し、休ませてくれ」

隠牙さんは心配そうな目をこちらに向ける。何か言ってやるべきなのか

とりあえず。全身の筋肉が脈打ってて気持ち悪いから、ブルーシートの上で横たわる

「……はぁ」

床の冷たさで熱くなった筋肉が冷えていく。一瞬だけこわばって体がびくつくけど、すぐに緊張がほぐれて冷たさが気持ちよくなってくる

四足走りの時に掌とか手首とかやっちゃったかもな……すこし痛む

それだけじゃなさそうだな。イワ先生の巨体を吹っ飛ばすのに巴投げを使ったのはいいけど、少し背中にダメージが来ている

星霧先輩の攻撃もきているっちゃ来ている

「先輩……すみませんでした」

気づいたら目を閉じていたらしい。俺の額に濡らされたタオルが置かれて、意識が戻った

「何を謝っているんだ?」

「なんとか……結果的には勝利を掴むことができました。1位です。誇らしいことです。だけど、先輩たちに負担をかけすぎてしまいました……」

そういや、隠牙さんの初仕事になったのか……

「おい冴崎。お前の体験談でも語ってやれよ」

「わたしは今忙しい」

この……!ったく……

痛む体を無理やり起こして、隠牙さんと向き合う

「あー……かしこまって正座なんかしなくていい。少しだけ俺の昔話に付き合ってくれ」

俺がボランティアをはじめるきっかけと、その後の話

「俺はボランティアが好きだ。物心ついた時から……って訳じゃないけどな。小学校の頃、介護センターに雪かきのボランティアに行ったんだよ。そうしたら、みんな『これで安心して眠れる』とか言ってくれちゃってさ」

何年も昔のことだけど。覚えている。だからこそ毎日SVTとしていられる

「それ以来、俺はボランティアが好きになったんだよ。自分たちがやったことで人が安心できるようになったんだ。平穏を作れたんだよ」

幼心は誓を立てた


「俺自身が赤木導という人間である限り、目の前の平穏を守る」


今も、そんな幼心の延長線上で動いている

いや、今でこそ真面目に動けている

まだSVTができる前。中学入ってすぐの頃だったか。俺は夏休みに学校の壁をきれいにしようと思って、一人で掃除しまくってたんだ

……まあ何というかね、思いつきで動くとうまくいかないんだ

俺が壁をきれいにしたことで、壁から落ちた汚れで地面が汚れた

失敗だったよ

その時は俺もそう思っていた

だけど、いつ誰が言い始めたのかは知らないけど、こんな言葉を思い出した

「失敗なしに成功はない」って

真夏、コンクリートの上に広がった水がみるみる乾いていったのを覚えている

地面を汚したことは失敗かもしれない。だけど間違いなく壁は綺麗になった。失敗によって成功は生まれ、成功によって失敗は生まれた

乾いた地面には、もともと壁についていた土埃が落されていたが、箒で掃けばすぐにきれいにできた


「誰だってはじめての仕事を終えると全体を知る前に成功、失敗を決めつけてしまうんだ」

「先輩も……そうなんですか」

「失敗だって決めつける癖があった。確かに何かしらの失うものはあるかもしれない。犠牲はある。それでも、何も失わずに成果物を得ることができないこの世界じゃ、それは失敗なんかじゃない」

まとまらなくなってきたな。完結に言いたいところなのに

「今回は成功だ。お前が失敗だと思っても、紛れもなく成功」

「でも先輩の体ボロボロじゃないですか……」

「気にすんなよ。勝利を奪うための犠牲だ」

残りの競技はあと一つ

最終決戦に向けて俺は少し休ませてもらおう

いや、出場不可能かもしれないな

それも、今はわからないことか


俺が止まっていても勝てる

そのためのチームなんだから

All For All




短めですね

体育祭編クライマックスです

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