26. 提灯を配備せよ
冴崎の極ウマ弁当を頂いてからその後
午後のステージイベントにはまだ時間があるのだが、俺たちSVT隊員は既に全員昼食を食べ終えて待機モードに入っていた
そこで、静道先輩が指示をだした
「これより、桜祭り夜宴の為に提灯を配備する。いいな?」
「「了解!」」
桜祭り夜宴とは、桜祭りの6~9時の時間に提灯を点灯させて桜を照らして夜桜を楽しむイベントだ
片付けの都合上、9時で桜祭りは終わるため、事実上桜祭りのラストイベントだ
「昼休みの間に全部つけきるぞ。それでは、具体的内容を説明する」
提灯は、折り畳んである紙の内側に、火傷や省エネのためにLEDを入れてあるものを使う
乾電池式で、再度充電が可能な電池を使っていて、この提灯に使用した後は市内の老人ホームセンターや教育施設、病院、市役所等に、停電時に使えるように配られる
市長の優しさがにじみ出ているよな……
それはさておき、今回の任務はワイヤーを張る部隊と提灯を引っ掛ける部隊に分かれてやる事になるらしい
しかも、今回の任務は幾つか手数が封じられている
「まず最初に、裁凪。お前のグレネードランチャーはワイヤーガンとしても使えるが、この昼間からワイヤーガンを使っている奴がいたら流石にアレだから禁止な」
「俺は誤射なんかしないぞ!?」
「いや、それはわかっているけど硝煙のにおいに包まれながら桜餅を楽しみたいと思うひとは少ないだろうからな。避けてくれ」
「チッ……了解」
確かにワイヤーガン使えば早いけどね……
俺も硝煙なんかかいでたら気が休まらないから勘弁だ
「それから、裏寡」
「はい」
「乗り物も禁止だ」
「わたしが交通事故でも起こすと思っているのですか?」
「いや、異様なテクニックでボルドール操っている女子高生なんかいたら流石にアレだから」
「……了解です」
桜の木の下を颯爽とボルドールで駆け抜けるのはどうかと思うからこれは仕方ない
「さて……この提灯設置作戦では素早さが重要だ。広いフィールドに、お客さんの邪魔にならないようにスピーディーにしかける。それから、俺たちは迷子センターブースも取り仕切ってるから、そちらにも人員を割かなければならない」
静道先輩はSVTメンバーの顔を見渡す
「じゃ、冴崎はいつでも迷子放送できるようにここに待機」
「了解」
冴崎は頷きながら応える
「御奈沢と水爪は迷子センターブースで待機」
「了解です」
「わ、わかりました!」
迷子センターブースは子どもの相手になれているであろう生徒会長の雨羽先輩と子どもが話しかけやすい子どもっぽい外見の水爪を配備か……
「鎌月と葉城は……」
「……zzZ」
「ちょっと待て、なんで葉城は寝ているんだ?」
「きっと疲れているのでしょう」
「そうか……じゃあ、鎌月、葉城はここに寝かせておいて、俺たちの荷物の警備を頼む」
「了解です。……へへっ二人きり」
危ない視線だよな!?
ちょっと待て!葉城に危険が迫っている気がする!
「さて……残りのメンバーを半分に分けて提灯設置班とワイヤー設置班に分けるぞ!」
残りのメンバーは俺、赤木導と
総隊長、静道彰先輩
マッチョ、荒威大先輩
馬鹿力、星霧麻菜先輩
虚無の気配、鷹宮幽麒先輩
残念なイケメン、銀嶺静流先輩
ミリヲタ、裁凪颯太先輩
不良もどき、五十嵐駿
最強兵站ドライバー、裏寡香奈
合計9人
「ワイヤーは……俺と荒威、星霧、五十嵐で張ろう。残りの人員で提灯を引っ掛けてくれ。点灯はリモートで一斉に行なうから今はつけるな」
「「了解」」
「さて……さっさと始めるか!」
時と場所はうつり、今は湖畔案内館
今回の作戦はオペレーターはいないので、インカムで実働部隊同士で通信して挑む必要がある
各自耳にインカムをつけて、待機
これから案内館の一室、先日音響が置かれていた部屋の隣の部屋から提灯とワイヤー、固定器具を運び出して作戦を行なう
「よし……いくぞ!」
「「了解!!」」
一気に案内館に飛びこむ。いつもは閑散とした案内館だが、今日はそれなりに人がいた
その人の間を縫うように駆けて部屋に到達する
関係者以外立ち入り禁止の張り紙が張ってあったその部屋はコンパクトになっている提灯が詰まった段ボールと、巻かれたワイヤーが置いてあった
「持てるだけ持って行け!」
荒威先輩と星霧先輩が大量のワイヤーを持って駆けていき、五十嵐と静道先輩が残ったワイヤーを肩にかけて、固定器具をもって走って行った
「俺たちも、できるだけ沢山もっていきましょう!」
段ボールを二つ抱えて走る
またも人混みを抜けて、案内館外へ
既にワイヤーが張られ始めているところを見つけて近づく
「赤木!固定手伝ってくれ!」
俺の名を呼んだのは荒威先輩
「そこの、木の上に固定してくれ」
ワイヤーの先端が投げられる
「了解です!」
段ボールを地面において返事をする
イレギュラーではあるが、俺もワイヤー設置を手伝おう
袖をまくってワイヤーを肩にかける
「行きます!」
ワイヤーが他の人に引っかからないように気をつけながら走って地面を蹴る
ジャンプして、木の太めの枝を掴み、体を引き寄せて登る
一瞬にして木の上に登り、ワイヤーを固定
「荒威先輩!完了しました!」
「了解!星霧!いけ!」
「わかったわ!」
木の上から星霧先輩を見ると、ワイヤーをつかんでいた右腕を振りかぶり……
「たあっ!!」
ビュンッ
ワイヤーが飛んでいき、木の枝の間に入り込む
「っと」
それを下にいた五十嵐がキャッチして
「静道先輩!」
そのワイヤーをさらに静道先輩にパス
この段階でワイヤーは木の幹をまわっている事になる
「よっしゃ、いくぞ!」
ワイヤーをキャッチした静道先輩がそれをさらに木に向かって投げて……
これで固定!?
「あ、あの……これで固定なんですか?」
一応荒威先輩に聞いてみる
「あぁ、これで平気だろ。いくぞお前等!」
「「っしゃあ!!」」
ワイヤー部隊は駆けていった
「赤木君、提灯を設置しますよ」
下から声をかけると、そこにいたのは段ボールを抱えた裏寡
「あぁ、すぐに行く」
近場の枝を蹴って、空中で体を捻りながら地面に着地する
任務中に高場から飛び降りる事が頻繁にあるから、どうってこと無く次の動作にうつれる
「よし、段ボール持っててやるから提灯をつけていってくれ」
「了解しました。ありがとうございます」
俺が置いた二つの段ボールと裏寡が持っていた段ボール、合計3つを抱えて裏寡を追いかける
裏寡は手持ちの提灯をワイヤーに引っ掛けつつ、段ボールから次の提灯を取り出し、テンポよく設置していく
一人の人間が段ボールを下ろしたりあげたりして引っ掛けていくのはテンポが悪い
こうして二人一組で行なうのに適した作戦だろう
こうして、俺は段ボールを持って駆け回った
すぐに全ての提灯を下げ終わり、時刻は午後1時を少しまわったところ
っし、気合い入れていくぞ!
こんにちは永久院悠軌です
僕史上まれに見る、作戦会議と作戦実行を同じ話に書いている話ですね
スランプが原因かな…
文字数がなかなか伸びない上に更新が遅れています
もっと頑張らなくては!




