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① 雪かき作戦

「こちらαリーダー 位置についた 指示を」

暗闇の中に聞こえる一人の男の声

『了解 その場で待機せよ』

男がしたインカムから返事が帰ってくる

場所は某県 冬の深夜である

ここは湖に隣接する住宅地で 冬になれば吹き下ろしが冷たく吹き抜ける

また、湖の水蒸気や気流の影響で雪も多く降るため

のどかな気候を好み在住しているご老人が多いこの住宅地には厳しい環境だ

『こちらβリーダー 位置についた』

インカムから先程とは違う声が聞こえる

『了解 両チームとも用意はいいか?』

「αリーダー OK」

『βリーダー OK』

『くれぐれも周辺に被害のないようにな それでは オペレーションを開始しろ 健闘を祈る』

「了解」

『了解』

そこでインカムを用いた三者の会話は終わった

αリーダーと名乗る男は振り返る

そこには暗闇に紛れるよう黒い衣服を着て整列している4人ほどの人間がいた

「オペレーションスタートだ 行くぞ!」

男達は一斉に駆け出す

その姿は戦地に赴く戦士の姿

だが、彼らは軍人でも傭兵でもない また、警察の特殊部隊でもない

「静かに動け 近隣住民を起こすなよ」

「「「「了解」」」」

「こちらαリーダー 照明弾の使用許可を」

『許可する』

「照明弾 撃て」

うち上がった照明弾で照らされた 白銀の世界 豪雪の住宅地に居るのは スコップやトンボ、水切りを持った男たち

彼らの正体は『SVT』という

Secret Volunteer Team

人知れず 社会に奉仕する影の人間

一人一人が洗練された肉体と清らかな心を持ち

社会に貢献することを生き甲斐とする正義の集団

そのメンバーかそれぞれ 民家の屋根に登る

「お湯をまいて雪を解かせ!ある程度溶けたら水切りで下に落とすんだ!くれぐれも静かにしろよ!」

リーダーが周りに聞こえるよう、しかしながら雨戸越しに室内の人々の安眠を阻害しない程度の大声で命令する

「水切りはしっかりしろ!屋根は凍ると痛むからな、水滴を残すな!雪だけを落とせ!」

彼らの今回の仕事は雪かきである

彼らはその名の通り 民間人に知られることなく秘密でボランディア活動をする

そのため 極寒の深夜に雪かきをして地域貢献しているのだ

「照明弾が消えるぞ!次段用意!」

「用意、できました!」

「よし こちらαリーダー 照明弾二発目を使うぞ」

『待て、付近を深夜バスが通る』

「了解 全員、暗転に構えろ!」

「「「「了解」」」」

リーダーの指示と応答が交わされた直後 周囲が暗くなった

照明弾が消えた暗闇のなか チェーンタイヤと雪が奏でる音が少し離れたところを通りすぎる

『αリーダー 発射を許可する』

「了解 撃て!」

再度 周囲が明るくなり メンバーが動き始める

「よし!各員雪落としは終わったな、下に行って地面にたまった雪を道路側に出せ!」

「「「「了解」」」」

全員同時に宙に舞い 着地する

全ての動作を無音でこなすことができるのは日頃の訓練のお陰だろう

身体へのダメージも一切なく 当たり前のように動き出す

「早くしろ!仕事はまだ残ってるんだぞ!」

早くも雪をスコップで移動させたリーダーが催促する

「α2完了!」

「α3完了!」

「α4完了しました!」

「α5 完了です!」

「次だ 道路に集合!」

「「「「了解!」」」」

向かい合った5つの住宅からそれぞれメンバーが出てくる

そこで照明弾は消えるが 街灯で照らされた道路の雪かきに照明弾は必要ない

前列2人後列3人の二列横隊に並び道路の横幅を埋める

「トンボ構え!」

ザッ

それぞれ他のメンバーに当たらないように気を遣いつつ 静かにトンボを雪に埋もれた地面に当てる

「リーダー!これって……」

「あぁ、厄介なことになった アイスバーンだ……!」

トンボを突き立てた時の感覚でわかる硬い氷と化した雪

「……さっきのバスか……!」

「ど、どうしますか!?」

「……少し待て こちらαリーダー Aブロックに増援を要求する」

『了解 直ちに送る それまでそちらで対処せよ』

「了解 いくぞ、 第一班トンボ突撃準備!」

「了解」

「突撃!!」

リーダーとその横の隊員が同時に駆け出す

トンボとトンボの隙間を極限までゼロに近づけて 一気に駆け抜ける

「止まれ!」

調度 曲がり角の付近で止まり リーダーが振り返る

それから合図を出して第二班を呼ぶ

この距離で聞こえるように声を出せば近隣住民が目をさますかもしれないので合図である

第二班が再度多くの雪をもって駆けてくる

「やはりアイスバーンか……!」

凍った雪が道路に張り付いている これでは上を通る車輌がスリップしてしまう

「αリーダー 増援に来たぞ」

「着いたか!頼んだぞ!」

「任せろ!βチーム科学技術兵前へ!」

「「了解」」

αチームが一般的な仕事をそつなくこなす一般チームならば βチームは個々の性能が尖っている 特殊作戦向きの いわば『SVT』の特殊部隊だ

「酸化カルシウムを使います 皆さん 離れていて下さい」

言うがはやいか誰もいないアイスバーンに何やら大きな機械で粉を噴出し始める

ジュワジュワ……

酸化カルシウムは水分と反応することで放熱反応をおこす

それにより氷を溶かしていく

「っし 溶けて来たな 一気に行くぞ!αチーム第一班整列 構え!」

「了解」

「突撃!」

氷を砕きながら一気に駆け抜ける

「第二班続け!」

さらに勢いよく第二班が駆け抜けた

白銀の大地と 漆黒の星空の美しい景色の中 男達のオペレーションは行なわれていた


彼らは、闇夜を駆け 社会に貢献するもの

誰に頼まれる事無く突撃してボランティアを行なう 強襲ボランティア

それが、SVT

はじめましての方ははじめまして

既にお会いしている方は また、お会いできて嬉しいです

永久院 悠軌と申します

こちらの作品は「超アクティブにボランティアをやったらどうなると思う?」と言う会話から流れ友人に「作ってくれ」と言われて作る事を決めた作品です(今日考案)

楽しんでいただけたら大変嬉しいです


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