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          4 古竜

 マリエールはエイシェントドラゴンの正面に立って古竜と念話した。古竜との対決に緊張するマリエールに対して古竜は余裕だ。

            4  古竜


 マリエールはエイシェントドラゴンの正面に立って戦う事になった。ドラゴンブレスを受けたら一溜りもないのではないだろうか。想像するだけで身の毛がよだつ。ドラゴンの正面に立った時念話を送った。

「ドラゴンよ。観念するが良い。我はお前を討ち滅ぼす者なり。言い残す事があれば言うが良い。」

大きな念話が響き渡った。それが笑い声だと暫くして判った。

「小さな人間の中でも殊更小さな米粒のような存在で何をこざく。一度だけ情けを掛けよう。金輪際我前に立たぬと誓い立ち去るのであれば追わずに置いてやろう。最後のチャンスだ。」

古竜は絶対的強者の威厳で言った。マリエールは

「そのまま返そう。金輪際家畜を襲わず人間と関わらないと誓うならば見逃がしてやろう。」

マリエールは緊張しながらもそう言った。

「最後のチャンスをふいにしたようだな。その方は転生者か。それにしては個がないな。稀人か、いや使命のようなものを感じない。

独自で目標のようなものを持っているのか。我と対するのも目標故か。どんな目標か知らぬが死よりも重要な事か。」

マリエールは漠然と目標があった。世界の人々を幸せにする事。エイシェントドラゴンと戦う事がその目標と一致するのだろうか。愚かな選択をしたのではないか。アベルにいいように使われただけではないか。マリエールは、

「目標? 特にはないな。お前を倒して最強である事を示す事か。お前を殺す。」

その瞬間ドラゴンブレスが放たれた。おそらく何千年も生きて始めて本気で放ったのだろう。強烈な一撃だ。マリエールは防御魔法で身を守ったが木の葉のように吹き飛ばされて遥か彼方まで行ってしまった。

 アベルは孤立無援になってしまった。逃げ出すわけにもいかない。古竜に斬りかかった。効果はないようだ。止めるわけにはいかない。妹を己の不甲斐なさで死なせたなら死んだ方がいい。妹を正面に立たせたのはそれが勝利するための最善だと信じたからだ。絶対に卑怯な手を使ったのではない。妹が死んだなら自分も死のう。ただ猛然とエイシェントドラゴンに向った。5度斬りかかったその後でエイシェントドラゴンは巨体をアベルに向けた。あゝドラゴンブレスが放たれる。我命もそれまでだ。6度目の突進だ。ドラゴンブレスが放たれる。

 アベルの命は尽きようとした。その瞬間エイシェントドラゴンの巨体が動きを止めた。エイシェントドラゴンの頭を何かが貫通したのだ。マリエールの放った貫通魔法だ。エイシェントドラゴンが墜落しかけた時マリエールはエイシェントドラゴンを収納した。

「アベル兄様、生きていたのね。」

妹の憎たらしい声が聞こえた。

「生憎と妹の望み通り死んでやれなくて悪かったな。しかしお前のお陰で助かったよ。ありがとう。」

アベルは感極まって目が潤んだ。

「偶々よ。予想以上に飛ばされて帰って来れなかったもの。アベル兄様危機一髪だったわね。」

それからエイシェントドラゴンの魔石なら報酬よりも高く売れるところがあるのではないかなど下世話な話しをした。

 マリエールはエイシェントドラゴンのドラゴンブレスで吹っ飛んだ。孤立無援のアベルは何度も古竜に斬りかかった。

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