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魂の詩


  クレア州ダーベッグ湾

  ジャック・ドガティー、海べりの人

  血筋は入江を守りきて

  三代(みしろ)、波の歌を聞く


   ラム ファム プードル プー


  嵐の夜に昂るは、人、人ならざるも変わりなし

  ジャックと人魚(メロウ)クーマラの

  出会いは、昇る太陽、沈む夕暮れ

  海と海べり、異なる定め、埋めがたし埋めがたし


  赤い三角帽(コホリン・ドゥリュー)と酒こそが

  異なる境界溶かすぞと

  人もメロウも知って知らずか

  海底の宮へひと潜り


  「さあさあ、たんと、おあがりなさい

   だけど、酔ってはいけませぬ」

  「海に溺れぬわいじゃけん

   酒に溺れるわけもなし、そら乾杯!」


  飲むも飲むもへーちゃらは

  海なる保冷庫、頭を冷やす

  ジャックも知らぬことなりき

  酒の肴は、いうにいわれぬ歌なりき


   リップル ディップル ニッティー ドフ


  薄闇のなか並んだ蝦壺(えびつぼ)

  ことこと壺がなるゆえか

  はたまた蝦が泣くゆえか

  皆目わからぬ不思議なる歌


  「おおそれは、沈みながらの歌い手よ

   壺もて並べておいたまで」

  いうたメロウの顔のうえ、色は少しも現れず

  ただジャックの胸、憐れみの波が打ち寄せし


  「さてさてクーマラ爺さんよ

   つぎは我が家で酒盛りしよう」

  「おうおう、受けて立ちましょう

   酒豪のわしは負ける気がせん」


  入江を守りて久しき家で

  人、人ならざるは酒を盛りては大騒ぎ

  でるわでるわ、クーマラ歌う、波の歌

  酔うたジャックはほどけて攫わる


   ダムドゥー ドゥードゥル クー


  負けず嫌いのジャックはさ

  準備万端、ふたたび酒宴

  異郷に住みたる兄からの酒

  酔うたクーマラ丸まり眠る


  そんなこんながあったから

  人と人魚の行き来はとだえ

  モハーに立てるジャックの耳に

  聞こえ来るのは海鳴りばかり


  あいや、そうして聞こえるは

  幻かともと疑って

  首をかしげて、海見しも

  海鳴りに似た、――風の(うた)


   ラム ファム プードル プー

   リップル ディップル ニッティー ドフ

   ダムドゥー ドゥードゥル クー

   ラッフル タッフル チッティーブー

「魂の檻」より

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