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南ちゃんはいつも嘘つき!  作者: 霜月


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4/17

4通 自分が既読無視するのはいいが、されるのはイラつく件



 強制的に家を追い出されてから、今日まで何も連絡がない。既に丸2日経っている。イラ。僕からメッセージを送っても、全て既読無視。



 一応、見てはいるらしい。



 童貞にはちょっと刺激が強すぎたということか。(※南は童貞ではありません)でもあれくらいやらないと、僕のこと絶対忘れるでしょ。



 自室のベッドに寝転がり、スマホのメール画面をずっと眺める。何も変わらない。



「あーーっっ!! イライラする!!!」



 スマホをベッドへ投げつけ、寝返りを打つ。はぁ。もう、なんなの。毎日メッセージくれてたくせに!!! この対応!!!



 ぽんっ。



 メールの着信音が鳴り、身体を勢いよく起こし、投げつけたスマホを手に取った。着信、海里。メッセージ来た!!!!



 急いでメッセージを開く。



 【会いたい】既読。



 ぉお!!! 求愛!!!!(?)



 【僕も会いたい。今から会いに行ってもいい?】送信。

 【今?】既読。

 【じゃ、今からいきまぁす♡】送信。



 あとはシカトしよ。時刻は16時。うちはあまり良い家庭環境じゃない。僕の帰りが遅くたって、なんの問題もない。



 ウエストバッグを背中に装着し、家を出た。




 *




 会いたいと送ったものの、会ってどうするんだ?



「付き合うとか……?」



 ないな。相手は男だよ……。南ちゃんのことばかり考える自分はいるけど、果たしてそれが恋なのかは分からない。



 体の関係を持ってしまったから、気になるだけかもしれないし。それに、初めて会って、ヤッて、それで付き合うとかないわぁ……。



「まずはアレだな!!! 友達から!!!」



 友達になって、一緒に遊ぶようになってから、色々考えよう!!! とりあえずこれは過ちだ!!! 全てをリセットして、良好な関係を築く!!!



 ピンポーン。



 玄関扉の覗き穴から相手を確認する。南ちゃんだ。来るの早。ドアノブに手をかけ、ドアを押した。



「ど、どうも……」

「海里く~~ん!!! メッセありがとぉ!!! 家入っていい??」

「いや、外歩こう(家は危険だ!!!)」

「いいけど~~……」



 行く宛てもなく、ただブラブラと南と一緒に歩く。横目でチラリと南を見ると、目が合った。気まず……。



 でもちゃんと関係性をはっきりさせないと!!! 今後のために!!!(?)



「……俺たち、友達だよね?」

「は?」



 眉を中央に寄せ、嫌な顔をしている。負けるな俺!!!



「友達でしょ~~?」

「ソウデスネ」



 認めた!!! おけ!!! 俺たちは友達だ!!!(?)



「ねぇ、外寒いんだけど」

「え? まぁ、最近夜冷えるようになってきたもんね」

「家入ろうよ」

「…………」



 何この流れ。まぁ、でも? 仕方ないか? 寒いと言われれば少し肌寒い。家に入るのは致し方ない……。



 友達だから。そう、友達だから。別に何もしない!!! 訝しげに南を見ながらも、来た道を戻り、家の中へ入った。



「はぁ~~寒かった。てかさぁ、既読無視ひどくない?」

「え……あ……ごめん」



 部屋へあがり、床に腰を下ろすと、南が当たり前のように俺の隣に座った。この距離感に少しだけ、警戒する。



「僕さぁ、毎日ずっとメッセージ待ってたんだけどー」

「そ……そうなんだ……」

「どうお詫びしてくれるの?」



 お詫び?!?! なんで俺が南ちゃんにお詫びするの?!?! 既読無視してごめんなさいでオーケー?!?! 合ってる?!?! でもこのお詫びって何かさせられる系なのでは?!?!



 じぃ。南が俺を見つめてくる。とりあえず謝罪だっ!!!



「えっと……既読無視して申し訳ありませんでした」

「はぁ? そんな言葉で僕が許すと思ってるの?」



 なんですと!!! そんなにひどいことしましたっけ?!?! てか、友達ですよね?!?! 何をお望みですか?!?!



「えっとぉ……」

「怖がらないでよ~~っキスしてくれたら許してあげるから」



 キス? え? キス? キスするの? ぇえええぇえ!!!! いやでも、既読無視し続けたのは俺!!! 悪いのは俺?!?! 罪は償うべき?!?!



「早くしてー」

「くっ……」



 (おとこ)なら潔くここはキスしよう!!!



「分かった!!! キスする!!!」

「そう来なくっちゃぁ~~」



 目の前で南が目を瞑った。長くて綺麗なまつ毛に高い鼻。整った顔立ち。ドキ。顔を近づけると少しだけ心臓が速くなった。



 首を傾け、唇を重ねる。



「ん……」



 ぐいっと後ろから手で頭が押され、強く唇が触れ合った。突然の押し付けられるような口付けに頬が染まる。



「~~っはぁっ」

「はい、これで全部許す~~」

「ありがとうございます……??」



 南がポケットからチケットを2枚取り出し、俺に見せてきた。



「じゃあ~~んっ!! 映画の無料券です!! 今週の土曜日、一緒に行かない?!」



 さっきとは打って変わって、子供みたいに無邪気な笑顔を見せる南をみて、口元が緩む。



「一緒に行こうかなぁ~~?」

「やったぁ!! ありがとう~~っ!!」



 首回りにぎゅっと抱きつく南が可愛くて、そっと南の頭を撫でた。


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