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南ちゃんはいつも嘘つき!  作者: 霜月


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18/18

18通 終わりじゃなくて、続きが始まる件



『……もう行くね。ありがとう、会ってくれて』



 そう言って、背を向けた南ちゃんに、俺は何も言い返せなかった。名前を呼んでも、南ちゃんは振り返らなくて。きっと、俺に泣きそうな顔を見せたくないのだろう。



 自分の気持ちを隠すのが癖で、そうやっていつも、大事なところで黙ってしまう。あの頃と、何ひとつ南ちゃんは、変わっていない。



 でも、俺はもう見過ごさない……!



 忘れたふりをしながら、終わったふりをしながら、それでも、ずっと南ちゃんのことが好きだった。この気持ちは、ちゃんと伝えたい!



 地面を蹴って、駆け出す。細い駅前を通り、ちょうど南ちゃんがポケットに手を伸ばしかけた、その瞬間、言葉より先に、腕を回し、後ろから、思いきり抱きしめた。



「ーー待てよ、南ちゃん!」

「っ……海、里くん……?!」



 耳元にかかる吐息の距離が、懐かしくて、少しだけ痛かった。



「……ずっと好きだった。南ちゃんのこと、忘れたことなんて一度もない」



 震える声で、何とか言葉を繋いでいく。



「南ちゃんが来なかったから、俺が行った。やっと言える。俺、南ちゃんがいないまま、大人になりたくなかったんだ」



 腕の中で、南ちゃんの体が小さく震えた。でももう、離すつもりなんてない。泣かれても、謝られても、全部、受け止める。



「ねえ、今からでも、間に合う? ここからまた、南ちゃんの『恋人』になってもいい?」



 沈黙のあと、南ちゃんの手が、そっと俺の腕に重なった。震えながらも、しっかりと掴んできたその手が、全ての答えだった。



「……海里くん、ずるいよ……」

「ずるくない。もう、嘘つかなくていいなら、俺はなんだってする」

「……海里くん……あのね……僕、ほんとは、ずっと……会いたかった……」

「知ってるよ。南ちゃんの声、震えてたからね」



 南ちゃんの肩に、そっと顔を埋めると、胸の奥から何かがこみ上げてきて、それが涙なのか安堵なのか、自分でも、よく分からなかった。



「……じゃあ、僕も言う。ちゃんと」

「うん」

「……好き。大好き。卒業する前からずっと、海里くんが、大好きだった」

「俺もだよ」



 やっと、同じ気持ちを、同じ場所で、言えた。電車のホームに流れるアナウンスが、遠くに聞こえる。駅前の人混みの中で、俺たちはもう一度、手を繋いだ。



 指先が、あの頃より少し大人びていて。でも、ぬくもりだけは何も変わらなかった。



「……ほんとに、迎えに来てくれるとは、思わなかった」



 南ちゃんが、ちらりと俺を見て、少し笑う。その目は、涙で潤んでいた。



「来なかったのは南ちゃんでしょ。俺はずっと、待ってたんだよ」

「うん……ごめん。でも、会いに来てくれて、ありがとう」

「俺にとっては、ずっと『終わってない約束』だったから。そりゃ、行くよ」



 南ちゃんが、俺の肩にもたれて、目を閉じた。電車の音が近づいてくる。でも今度はもう、『見送る側』でも『置いていかれる側』でもない。もう、ひとりで帰ることはない。



「ねえ、海里くん」

「ん?」

「僕たち……もう一回、はじめから、恋人になってもいい?」

「……何言ってるの? はじめからじゃないよ。ーーやっと、続きが始まったんだ」



 春の風が、俺たちの間を吹き抜けていく。



 澄みきった空に、少しだけ涙が滲んでも。



 今なら胸を張って言える。


 

 俺は、南ちゃんを迎えにきた。

 そして今、南ちゃんはもう、嘘をつかないーー。


 


 fin.




 

あとがき。



 こんにちわ! 霜月です! この度は亀更新の南ちゃんを最後まで追ってきてくださり、ありがとうございました!!!(泣)




 ここまで読んでくださった方には感謝しかありません!




 この作品は、Xの友人に、DMお題、おにしょた書いて!と言われ、書いて、自分の癖とはズレており(他の作品を読んでる人はわかるかもしれません……)




 筆が中々進まず、折れかけながらも、一年かけて完結させたような状態です。何気に、私の中ではとても古いBL作品になります。




 如月さん~の次の子じゃない??(たぶん)




 こんなに、スパンが空きながらも、最後まで読んでくださった方には感謝しております。そして、いいね、ブクマ、本当にありがとうございます!!!




 これが一番、励まされましたorz




 ほんと、筆折れそうになったので……。




 本当に本当に、ありがとうございました!! また新作で、お会いしましょう!!! ありがとうございました!!!

 




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