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南ちゃんはいつも嘘つき!  作者: 霜月


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14/17

14通 #ラブホほどシてくださいと囁いてくる部屋はない件

 


 ーーラブホの一室



「ねぇ、海里くん」

「……なに」

「今日は、ひとりでほぐしてきたもんね?」

「してないッッ!!! ま、間に合ってます!!」

「間に合ってないくせにー」



 ほんのりピンクがかかった照明に、ふかふかのベッド。壁には大きな鏡まである。部屋全体が、まるで『えっちなことしてください』って囁いてくるようで、頭がくらくらする。



 緊張と羞恥が一気に押し寄せてきて、俺はベッドの端までじりじりと後ずさった。けれど、南ちゃんは余裕の笑みで、にじり寄るように近づいてきた。



「ほぐしてきたくせに、逃げるとかないでしょ?」

「そ、それは……!! 南ちゃんが前に、そう言ったからで!! ……えっ? ええっ?! まさか!! ごむのことだったの?!」

「え、今さら気づいたの? ほんと海里くんって可愛いね」



 手首が掴まれると、あっという間に押し倒され、ごろんとベッドに背中が沈む。南ちゃんが、俺の脚のあいだに入り込んできた。



「今日は、ちょっとだけ意地悪してもいい?」

「ちょ、えっ、やめっ、やさしく……っ、あっ、やっ……!!」



 ずらされた下着の隙間から、南の指が尻の割れ目をなぞる。自分で使ったローションのぬめりと、いやらしい蜜のせいで、その指はスッと窄みの中に入ってきた。



「っっんああぁッッッ!!」

「ふふ、声出すぎ。ほんと、可愛い」



 もう、ゆるい。自覚したくないけど、ほぐれすぎている。それなのに、感じすぎて、指が奥の一点に当たるたびに、腰がびくびく跳ねる。



「指……やば……っ、んっ、んあっ……ちょっ……なんでそんな……ッ、あっ……だめっ!!」

「自分で気持ちよくしすぎちゃったんだね。お尻が『もっとして』って言ってるよ?」

「言ってないぃいぃい!! やっ、はぁっ、そこぉ……あぁあっ……」



 南の指が、自分で触ってた『そこ』とぴったり重なり、何度も何度も擦られて、身体が蕩けていく。



「準備、頑張ってくれたのがすごく分かる」

「だ、だからぁ、もっ、もう言わないでぇ……恥ずかし……んんっ…あぁっ……」

「もぉ、とろとろだねぇ、海里くん」



 震える身体を、南ちゃんが優しく抱きしめた。重なる唇も、突かれる指先も、熱くて、甘くて、やさしくて。あまりの気持ち良さに、胸の奥まで溶けてしまいそうだった。



「南ちゃん……俺……やっぱ……南ちゃんが好き……」

「僕もだよ。だから、今日はちゃんと……奥まで、ね」

「奥?」

「そ、奥~~」



 南ちゃんの手が、俺の脚を両側にそっと開く。南ちゃんが、何かに向かって手を伸ばすと、パッケージを破る乾いた音が、静かな部屋に響いた。



 いよいよなんだ。そう思っただけで、胸がどくんと高鳴った。



「……いくよ、海里くん」



 その声が優しすぎて、甘すぎて、思わず南の背中に腕を回す。ゆっくりと入ってくる熱に、身体がびくりと震えた。



「んあっっ、あっ……っう……んぁっ…はあっあっ……」



 奥まで満たされる感覚に、涙が滲む。今までとは違う。流されてシているわけじゃない。今は、心から南ちゃんを受け入れたくて、こうしている。



 恐怖とか、シたくないとか、そういうのは一切、なかった。



「動くよ」

「……うん」



 ゆっくり、ゆっくり、身体の中に沈み込む。確かに繋がっていくたびに、熱がじんわりと広がる。最初は異物感しかなかったのに、不思議と、南ちゃんの声や手がそれを溶かしてくれた。



「はぁ……っ、南ちゃん……っ、なんか……へんになりそう……っ」

「大丈夫、気持ちいいってこと、ちゃんと教えて? もっと、気持ちよくしてあげるから」



 唇を柔らかく吸われて、指先を絡めて、奥を突かれるたびに身体が跳ねる。恥ずかしい。でも、気持ちよくて、全てがどうでもよくなっていく。



「あっ……あっ……や、やば……っ、んっ……っ……!」

「可愛いね、海里くん。いっぱい頑張ったね。偉いね」

「やだぁ……っ、そんなこと言わないでっ……恥ずかしい……っ……」



 頬は熱く染まり、涙がぽろぽろと零れる。気持ちよさだけじゃない。南ちゃんの優しさと、愛しさと、すべてが胸に押し寄せて、泣きたくなってしまう。



「俺……っ、好き……好きだから……だいすき……」

「うん、僕も。海里くん、大好きだよ」



 その言葉と体温に包まれて、心も身体も満たされると、快感の波が一気に押し寄せた。



「っっあ……っ、いく……っ、ああっ……!!!」


 

 全身が痙攣するように達して、息を切らす俺を、南ちゃんはしっかりと抱きしめた。



 南ちゃんは身体をびくりと震わせた後、ふっと笑って、俺の前髪を掻き上げ、額にキスを落とした。


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