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博士と立野くん

男に生まれればよかった

作者: 星野☆明美

「男に生まれればよかった……」

深いため息と共に、さやかはつぶやいた。

昔からガタイがよく、力も強く、正義感に溢れ、輝く瞳、白い歯。歩き方はどすどすどす。

「男になりたいんですか?」

見知らぬ白衣姿の青年が聞いた。

「言ってみただけ」

そう言って、さやかは公園のベンチを後にした。

1か月後。

公園のベンチで誰かを待っている様子のさやかに、あの白衣姿の青年が声をかけた。

「試供品の飴です。どうぞ」

「あ、あら、ありがとう」

「誰かと待ち合わせですか?」

「ええ。まあ」

「さやかさん」

「ふみのりさん」

待ち人が来たようだ。

「待った?」

「いいえ」

「大事な話ってなに?」

「わた、私と結婚してください!」

指輪を差し出すさやか。

「ちょっと、ちょっと、待って!いろいろ違うよ!」

ふみのりは尻込みした。

「そりゃあ、私は男みたいですけれど、心はれっきとした女です。ふみのりさんのことが好きなんです」

「男みたい、って、男だろ?きみ」

「えっ」

いくらなんでもひどい、と思っていると、近くにいた白衣姿の青年が手鏡をさやかに見せた。

無精髭、骨格のがっしりした姿。

「おと、おと、男?!」

「男に生まれればよかったってこの前言ってませんでしたっけ?」

「でも、こんなのひどい!」

うおーん、と泣き始める。

「僕は男同士で結婚できないし、指輪も好きな人に僕から渡したいよ」

ふみのりがそう言った。

「さやかさんが女なら問題ないんですね?」

白衣姿の青年が聞いた。

「そりゃそうだけど」

「さやかさん、もう一個飴をあげましょう。これを食べると女に戻れます」

「本当に?」

飴を食べると果たして女に戻った。

「ふみのりさん」

「とりあえず、お付き合いから始めてみましょうか?」

「はい!」

ふーん、と白衣姿の青年は思った。

「さやかさん、きみ、宝塚受けてみない?」

ふみのりが思わず口走っていた。

「なんで?ひどい」

「今のきみの魅力を最大限に引き出せるよ」

「そうかな」

男に生まれればよかった、って、役者としてか……。と白衣姿の青年は思った。

本気で性転換願ってる被験者さがしに行かなくちゃ。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 青いキャンディ、赤いキャンディ的な? ( *´艸`)
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