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大学の夢と現実と鬱  作者: ユーテー
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入寮

今日からここがわたしの世界か。

実家から電車飛行機バスと乗り継ぐこと12時間ここから私が過ごす地へとやってきた。

わたしは親元を離れはるばる地方の大学に進学してきた。

わたしはそこまで頭がいいほうではなかったが、家も裕福ではないため寮に入ることを条件に地方の国立大学への進学を許されたのだ。

この町には何があるんだろう。飛行機を降りてからそのあとのバスの時間も長くわたしは今後過ごす町について調べてみる。

かつて鉄の町として栄えた町だったが戦争が終わりどんどん廃れ人が離れていくいっぽうのさびれかけた町であった。

そんな町にわたしは一抹の不安を抱えながらバスを降り寮に向かって歩き出した。

まず、海の香りで海のないところから来たわたしは新鮮味を覚えた。

さて、そうやって向かったらいいんだろうな

わたしは一人当てもなく歩き出した。

わたしは方向音痴だ。地図を見てもよくわからない。かといってタクシーを使うようなお金も貧乏学生の私にはなかった。

距離にして3キロ程度だと聞いていた道を歩くのに2時間近くかけてようやく寮へとたどり着いた。

まず最初の印象としては、男子寮ゆえの汚さと臭いであった。

廊下に干された洗濯物、放置された生ごみ、鳴り響く麻雀の音...

わたしはここで暮らすことへの不安が一気に増した。

しかし、寮費は非常に安く寮にいる限り寮費は親が出してくれるという。

多少我慢しても住めば都だという言葉を信じわたしは先輩の案内を受けながら自分の部屋を紹介された。

そこには、すでに一人同期が入寮していた。

彼は高校時代サッカーをしていたらしく、先輩たちとなじんでいた。

わたしは、サッカーに嫌な思い出があるためさらに憂鬱になっていた。

寮では一人一部屋ではなく仕切りがあるにはあるものの三人で一部屋だった。

その日は夜に先輩たちに連れられて夕食をごちそうになった。

新入寮生は毎年、先輩から最初の数日間奢られるものなのだという。

その夜は長旅の疲れもあって、夕食の後シャワーを浴びてすぐ眠ってしまった。

次の日、もう一人同期がやってきた。こちらは、パソコンやアニメが好きということで仲良くなれそうだと安心した。

わたしの同期は二人らしい。揃ったところで寮には固有の自己紹介があるという説明を受けた。

出身校、学部、学年、名前を全力の大声で叫ぶという。しかもそれに加えて、寮の先輩たちのところにあいさつ回りをするという。

入ってきた時からいろいろなところで聞こえてきていた謎の声の理由がわかりより入って二日で退寮したくなっていた。

世の中金じゃないなんて言う人も言うけど世の中は金だとは思う。

金のないわたしは、耐えるしかなかった。

全力の大声を数十回繰り返す行事、そんなことが許されていいのか。そんなことを思いながら無心で乗り越えるしかないと耐え切った。

翌日、入学式声がかれているというだけであぁあれを乗り越えた寮生なんだなという謎の一体感から友人はできた。

その点はよかったことなのかもしれない。そう言い聞かせてわたしはあまりにも濃い大学デビューの最初の三日を飾ったのであった。

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