雨の中招かれる足跡
雨が降るときにだけ浮かび上がる
透明で姿の見えない足跡の道
導きでも天啓でもない気紛れの行く先
子どもの俺は暇で着いて行った
知らない人は何処にも居ないから
足跡が消えぬよう雨を浴びて辿る
足取りは右へ左へと覚束ない
何処へ行くつもりか分からない
子どもの俺は近所にも無知だった
知らない街へ入っても着いて行く
時刻は変われど天気は変わらない
雲を越え初めて空が焼けているのを見た
足跡はまだ見えていた
そこに居たのは神様だった
子どもの俺は馬鹿だった
神様のそれは優しかった
神の気紛れに再び招かれた俺は
やはり馬鹿だった