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今日も異世界日雇い追放されたあいつは労基に叫ぶ

作者: しゆぽ

よろしくお願いします。


 異世界に転移してきて早六年。

 さあ、本日も未知のダンジョンを攻略だー!

 どんな出会いやお宝が待っているやら、ワクワクがとま――


 なーんてね……


 今日もこの異世界で派遣の日雇い仕事ですよっと。


 朝だ。

 いつものように異世界ネカフェをチェックアウトし、駐輪場のマイ異世界ママチャリにまたがって、こっちの世界で登録した異世界ケータイで、派遣会社から受けた異世界メールの指示場所に向かう俺。


 道すがら、空を見上げ、今日もいい天気。――うん、どーでもいい。


 やがて、とある工場の入り口門、その受付。そこで聞いた通りに駐輪場にチャリを停め、大まかに教えてもらった方角へと、どうやらあそこのようだ。


「ちぃーす。ハトポッポ人材派遣から来ました。よろしくです」

「あっ、ハトさん? 遅いよ! 何やってんの」


 指定された待合場所のプレハブ倉庫入り口には今回の仕事の監督役と思われる若造と、他の派遣と思われる者が二人、すでに到着して手持ち無沙汰だった模様。


「すいませーん」

「ったくこれだから派遣は……」


 いや指定時間より十五分は早いんだが。

 まぁそれを言っても仕方ない。会社にクレームをいれられると仕事を回してもらえなくなる。俺よりもひとまわり以上年下と思われるその社員閣下には心を殺して接しなければ。


「早くしろよ。時間がもったいねー」

「ぅへぃ」

 

 監督一人、開きっぱなされたサッシドア入り口から倉庫内に入っていく。

 促されてはないが、おそらくついていかなければいけないのだろう。


 それにしても、どこの会社でも大概、監督役は不必要に偉そうである。何をそんなにカリカリしているのだろうか。威張っていないと舐められると思っているのかとも考えたが、実はなんのことはない。下っ端の彼らが会社で唯一偉そうにできるのが、この状況しかないことなだけだった。彼らは普段上司同僚から傷つけられた自尊心を、今必死に取り戻している最中なのだ。

 そういえば親戚の集まりなどでも、不必要に他人の会社や仕事を馬鹿にしてマウントを取りたがる輩がいたが、きっと彼らも会社では不要無用な人材として扱われていたのだろうと、今なら想像できる。だってそんな奴、会社でも嫌われるに決まってるよなぁ。


 屋内はムワっとしたホコリ臭い空気がたちこめていた。

 電灯も灯されないので薄暗い。


「ほらボサっとしてんじゃねーよ!」

「はぁ?」

「とっとと作業始めろや!」

「え?」


 屋内に入りはしたが、作業内容をまだ聞いてない。

 他の派遣はここの経験者なのかと視線を向けたが、俺と同じくキョトンとした様子。

 こいつ、自分が偉そうにすることを第一優先事項にしてるせいで手順がすっとんでやがる。

 やばいなぁ…… 

 これ指摘したら、口ごたえしたとかなんとかで逆ギレするパターンだ。


「あのう、それなんですが……」


 困っていたら、別の会社から派遣された年配の男性が言い出してくれた。


「私ら此方は初めてなもので、できれば作業内容を教えていただければ幸いなのですが」

「あ……、ちっ、めんどくせーな」

「恐れ入ります」

「あぇ、お、おう、任せろ」


 自分の親の歳以上と思われる男性にそこまで低姿勢にされると、さすがの若造も恐縮するよりなかったようだ。実際その男性はこんな日雇い派遣をやってるくたびれた様子のオッサンとは違い、キチンとした身なりのうえ、どことなく貫禄まで感じる老紳士だった。そんな人に嫌味もなく低姿勢になられたらどんな奴も敵わないだろうと思う。


「いいか? こっちとそっちにあるコンテナ内のボルトとナットを締め合わせてあっちの空コンテナにいれる。ただそれだけの簡単な作業だ」

「わかりました」

「ただし! ナットはボルトの頭が五ミリは出るように締めること。でないと抜けるからな。もしそんな不良品があったら減点だ。給料から引かさせてもらうぞ。いいな!」

「はい」

「サボらずにちゃんとやっとけよ。たまに見回りにくるからな」


 そう言って、監督役はそそくさと倉庫を出て行った。

 おそらくは上から一緒に作業するよう命じられているのだろうが、本人からしたら派遣と一緒に仕事なんて死んでも嫌だというところだろう。人にはサボるなと言っておきながら今頃本人はどこぞでのんびりしているに違いない。でもそれは俺が邪推しぎなのだろうか、どうだろうか。


「お、これ使える」


 残った三人の中で一番若いそいつが、部屋脇に置いてあった何かのケースを持ってきた。ビール瓶を入れるような頑丈なプラスチックケースだ。ビールではないがこの工場で作っているなにかの部品を入れるケースなのだろう。

 彼はそれを逆さにして上に座り込んだ。そんな感じで作業する気のようだ。


「じゃあ我々も」

「あ、これはどうも――」


 老紳士が自分のしか持ってこなかった若輩と違って俺の分まで持ってきてくれたので、思わず恐縮してしまう。

 座って作業してるとさっきの監督にどやされそうだが、何ぶん荷台上のコンテナは膝の高さしかないため立って作業は行えず、かといってしゃがんで作業は足腰にくる。これは手抜きというより賢明な手段といえた。


「三人でやり易いよう小分けにしましょうね。完成品コンテナはこちらにおけばいいですかね」


 老紳士が作業しやすいよう上手にレイアウトしてくれる。さすがに経験の差だ。

 この人がいれば問題も起きそうにないなと安どする。

 見知らぬ者同士、特に俺らみたいな人間不信者が集まればケンカになることはないといえ、しばしば険悪なムードになることも多いからだ。

 と思ったら早速問題が発生した。


「うぅうっ、お、おまえらぁぁ、ううっぅ――」


 若輩野郎がワナワナと痙攣みたいに震えながら、嗚咽まじりになにかをほざき始めた。


「そんだけ、フッ、しか、フフッ、ああああああ、フフ、仕事俺に、ヒッフフ、押し付けええええええ、ハワアアァウアア……」


 そいつの顔もうめちゃくちゃしわくちゃ。動悸も激しく癇癪でひきつけ起こす寸前の幼児状態。


「!?」


 どうやらだが、老紳士がコンテナから両手で小分けして持ってきてくれた分しか俺たちが仕事しない、と思い込んだ様子。それはただ単に持ってこれるだけを取り合えず持ってきただけのことなのだが、こいつの人間不信力は俺たちの想像以上のパワーらしい。


「ちょっと待てよ。お前がコンテナの真ん前一番いい場所に陣取ってるから、取り合えず両手で持てる分だけこの人が仕分けてくれただけだろ? これ分が終わったらまた持ち出すだけの話だぞ?」


 場合によっては押し倒して、落ち着くまで羽交い絞めして――

 とそいつの出方を警戒したのだが……

 

「」


 何事もなかったのようにいきなり平静真顔に戻りやがった。動悸も呼吸の乱れもまったくなくなってる! 

 なんだこいつは!

 絶対安パイ老紳士の隣に自爆装置付き超絶危険UMAいた。

 鏡を見るかのように俺と老紳士は、驚愕困惑の同じ表情でお互いをけん制しあうのだった。


 しばし時が過ぎ、俺たちは黙々と作業を続けている。

 カコン、カコンとコンテナに放り込めれるボルトの音。

 どうにか平穏な空気を取り戻せた。

 単調な様子を嫌ってか、老紳士が口を開く。

 

「実は私、転移者でして。元の世界ではとある会社の社長だったんですよ」

「へー、あなたも転移者ですか」

「あらあなたも?」

「でも社長じゃなかったですけどね。えへへへ」


 俺は一気に親近感。ところが……


「ぷはw 社長が異世界転移して派遣w ざまーw うふぁふひゃひゃひゃう、ゲフォホッホ……」


 若輩野郎が嘲笑。しかも無理やりの作り笑いにノドを詰まらせ咳き込んでやがる。

 というかお前も派遣だろうが。俺もだし。

 危険物に触りたくないがさすがにこれは。


「お、お前ねぇ」

「いやいや、いいんですよ。今時の若者はみんなこんな感じですよね。人の不幸は嘲笑すべきみたいな。いつからでしょうね。ネットのスラングを現実に真に受けるようになったの。働いたら負けとか困ってる人にザマァとか」

「でたー老害。今時の若者はwとか! そんなの千年前の石碑にも書かれてるって知ってる? ねぇ知ってるーぅ?」

「知ってますよ。私だって若い頃は人生の先達方にさんざん言われてきましたから」

「老害、論破ぁ!」

「でもね。千年前の石碑を持ち出して、自らを省みなくなった若者っていうのもこの千年間で初めてでしょうかね」

「なぁ?……」


 ダメだ。完全に格が違いすぎる。

 孫ほどの奴に馬鹿にされて黙っていられなかったか、老紳士のほうもすこし意地になっている様子。 


「なにそれ、アオってる? ヒデ―! なんで俺がアオられなきゃならないの? ヒデーぇ」

「アオってるって、それはあなたのほうからでしょう。それに、なんで言い返されたらいきなり被害者ぶるの?」

「ケッ、派遣の老害がマウントとってくんなよ」

「それに歳を取ってるだけで『害』って――」

「バーカ! 老害、なにが目的でまだ生きてんだ? その年でアイドルにもなれねえ、スポーツ選手だって無理ぃ。人生終ってんだから、はよ死ね。年金払うの、もったいねーんだよ。役立たずのゴミーw」


 アホだ。

 コイツは若いってだけでアイドルにもスポーツ選手にもなれる可能性があると信じてやがる。

 この馬鹿は道を歩いてるだけで誰か権威者にスカウトされると思ってね?

 それに人が積み重ねてきた人生を全否定なんて、絶対ヤバいパターンだこれ。

 こんなトコで派遣やってる年配の労働者は色々訳ありだ。そして失うものなんて何もない。そのことを知らない馬鹿なのだ若輩野郎のコイツは!

 場合によっては新聞沙汰だ。

 コイツは事件が起きる状況を知らねーホンモンのガキだ。自分が事件の被害者になることなんて夢にも考えてねー。

 それどころか、被害者になれれば多額の賠償金が貰えるとか考えてね?

 死んで賠償金が貰えるのはオメーの親族だ、ボケェ! 

 しかも財産ないよ? 加害者には。


「私、転移者って言いましたよね? 転移者にはチート能力あるって知りませんか?」

「あ……」


 そうだ。

 律儀にも、現実社会と一切違いのないこの異世界に転移するにあたって、俺たち転移者は反則レベルのチート能力を神から与えられているのだ。

 そこらで先に気付けばいいものを、若輩馬鹿も今更ちょっと青ざめる。


「私のチート能力は……え?」

「――」


 若輩馬鹿、いきなりスタスタと退室していった。

 逃げた。

 ヤバそうだからって、物理的にそそくさとバックレやがった。

 しかも退室間際、


「俺を傷つけることは誰にもできねぇ」


 なんてセリフを吐き捨てていきやがった。

 決め台詞のつもりか? それでカッコついたと思えるのか?

 大勝負に圧勝したヤツが言うならともかく、退散するヤツの捨てゼリフとしちゃ最悪だろ。

 まぁでも、歩きスマホしてるヤツがバス停で待ってる人にぶつかって「あ、大丈夫です。気にしてませんから」とぶつかったヤツが言っちゃうような時代だから、それもアリなのか? マジなのか。 


 そいつのあからさまな逃走に、おいてけぼりの老紳士はキョトンとしている。


「?」

「さてと仕事、仕事」


 説明しても分かってもらえないだろうし、めんどくさい。俺は何事もなかったように仕事を再開する。

 老紳士も釈然としないようだが作業を再開。

 そしてしばらくである。

 若輩馬鹿がすまし顔でしれっと戻ってきやがった。

 それをシカトしておけばいいものを、さすが老紳士なのか、余計な気を使って……


「あ、あのぅ。さっきは脅かしたみたいで、ご……」

「ヒィイイ」


 半べそ声の悲鳴をあげ、また逃げ出した馬鹿。

 困惑する老紳士に俺も今度こそは助け舟ださねばなるまい。


「あなたが謝る必要はないですよ。悪いのはアイツだし」

「いやいやそれでも…… どっちかがですね、先に頭を下げないと物事が先に進まないですし――」

「そうじゃないです。悪化するだけですよ。今時はへたに頭下げたら『今こそが、その時!』とばかりに普段から振り上げていた手を、下げた頭の後頭部に叩きつけにきますから」

「ええ!?」

「アイツは自分が謝らなきゃなヤバイ立場なの自分でも分かってるから、今全力で被害者ぶってる最中なんですよ。絶対に謝りたくないから」

「そこまで、なの?」

「はい。だって謝ったら死ぬ病ですから」

「へ?」

「他にも、他人の指示に従ったら死ぬ病とかもあります。もっともこの病は、右から始めろと言われた指示の逆、つまり左から作業を始めるなどして、死亡を回避するようですが」

「え???」


 やっぱ分かってはもらえないようだ。


「取り合えずアイツがまた戻ってきても無視しといてください。それで時間がたてば(アイツがやらかした事とか)何もなかったことになりますから」

「そんなんでいいの? 私らが社会にでるときなんか『ありがとう。ごめんなさい。おねがいします』が出来なきゃ社会人として認められないといわれたもんだけど」

「今時社会人なんてファンタジー世界の妖精レベルです」

「いやはや、異世界に来てから聞くファンタジーの話がそんな嫌なもんだとは……」 


 戯れつつ少し悲し気な老紳士。

 気持ちはわかるけど仕方ないんです。

 それから、作業をしてると、何食わぬ顔をした馬鹿がまた戻ってきた。

 何事もなかったようにケースに腰掛け、作業を再開する。

 老紳士も何も言わなかった。でも、しばらくして……


「ちょっとトイレ行ってきますね。いやぁ、年取ると近くなっちゃって。いやはや失礼」


 やはり座りが悪いのか、言い訳がましい感じでトイレ休憩を申し出た。

 恐縮しながら部屋を出ていくのだった。


 残った二人。

 作業を続ける俺。

 そして何もしない馬鹿。


「……」


 分かっている。だから俺は何も言わない。

 コイツらは大概そうだった。

 他人が休憩しているときは自分も休憩しないと不平等だとか言い出すのだ。たとえ、それが代わりばんこに順番での休憩ですらでだ。

 仕方ない。

 なぜなら『猿』に道理は通用しない。

 実際、過去に説得を試したこともあったが、分かってもらえなかった。

 もし猿のほうが多勢なら、自分も人をやめ猿化しなくてならない。なぜなら人は猿を真似れるが、猿が人になれることはないからだ。

 そして人であることを気付かれてはならない。でないと奴らは集団で襲いかかってくる。


 猿……


 だからそれは決して悪口で言っているわけでない。本気で真面目にそう思っている。

 ゆえに何も思わず感じず、ただ今をやり過ごす。


「チッ、仕事の仕方分かってねーなぁ」


 猿、こっちに聞こえるように呟いている。俺の仕事にどんないちゃもんつける気か?


「もっと、こう、効率がぁー」


 しかし気付かないふりで俺は作業を続ける。


「合理化ってもんが分かってねー、やっぱダメだなー」


 この猿っ! せっかく俺が無視してやってるってのーに。


「だから、あ、それ、あー、あーあ……」


 ウザ絡みしてくる猿。

 スルー不可の様子。

 ボルトにナット締めるだけのことに、なんの効率合理化があるっていうんだ!? もしあるなら、ぜひに拝聴したい。というか、なんとかは紙一重というし、もしかしてとんでもない発想が!?

 うん。どーせ馬鹿な方でだろうけど。

 

「俺なにか間違ってる? よかったらご指導ご鞭撻いただけますか?」

「しょうがねーなあ」


 と言いつつご満悦。必要以上に丁寧な口調は皮肉だったのに気付いていない。というか、もしかしてコイツは俺がそういう下手の態度をとって当たり前だと思ってるのか!? クソ猿がっ!!


「いいかぁ、普通に真面目にやるやつは馬鹿なんだよ。なんにも分かっちゃいない。物事は要領よくやんねーとな。ちょっとずつの節約がな大事だ。数秒の短縮も重ね続ければ一日で一時間つくれたりするんだ。一日が二十五時間使えるようになるんだぜ。スゲーだろ」


 馬鹿だ。一日が二十五時間になるか。細切れの数秒を集めたからって余分な時間が増えるわけねーだろ。言葉のアヤで時空を捻じ曲げんな。数学のロジックをまったく分かってない。その話は二十四を二十四と考えるか二十三プラス一と考えるかの違いだ。なんで二十五? 二十四プラス一って発想の、そのプラス一はどこの別次元から持ってきた。神のイエーイ(ミラクルゴッドパワー)かよ。それを理解できない連中が詐欺師のカモにされるんだろうけど。


「これな? 見てろよ? ほらな?」

「あー!!」


 コイツ、ボルトとナットを一瞬で締めやがった。


「な?」

「な? ってお、おま……?」


 まぎれもなく一瞬だった。

 ヤバい、これ絶対ヤバい。


「まぁこんなもんよ」

「うん。おもいきりヤバい」

「だろぅ?」

「いや、めっちゃヤバい」

「くっくっく……」

「じゃなくてヤバい!!」


 ヤバいって単語、最近は違う意味で使われるのは知っている。マズイってよりかスゲーって意味で使われる。でも俺が言いたいのは前者だ。


「ヤベーだろ! やり直せ!」

「は?」

 

 困惑の猿……


 なぜなら、『ひと回し』しかしてない。

 ボルトとナットがひと回しでギリギリ繋がってる状態。


「さっき監督さんが言ってたの忘れた?」

「はあ?」


 ダメだコイツ。猿だから一時間前のことも覚えてねーんだな。


「なっ……」


 完成品コンテナを覗いたら、かろうじて引っかかってるだけのボルトとナット、それどころか外れてしまっているのも多数見つけられた。

 コレどうしよう。

 ちゃんと締め込んでないと給料引くとか言ってたけど俺らもか? コイツのせいで?


「労力の省力化。及び、スピードアップで効率化!」


 さすがだよ猿。労力はともかくこんな手抜きしてても完成品は俺らより少ないじゃん。


「あのさ。さっき監督さんに、外れないようしっかりねじ込むよう言われたよね?」

「?」


 さすが猿脳の記憶中枢。


「だからホラ、外れないようしっかりねじ込んでココを(!)五ミリくらい頭を出せって言われたよね?」

「あ……」


 指でつつきながら試しに実演したら気付きやがった。

 コイツ言われたことを理解してなかった。

 この猿は記憶中枢に問題があるじゃなくて、言語思考中枢が未発達だった。


「別に……いいんだよ、これで」

「はあ?」

会社クライアントはサバよんで大げさな要求を俺らにするもんだからな。だから俺らは、その先を読んでちょうどいいんだ。そんなもんだぜ?」

「サバ? この作業のどこにそんなマージンが……」

「アンタさぁ、社会経験なさすぎない?」


!!!!!!!!・・・・・・?


 次から次へと斜め下、ついには地中の底へー


「こんなん交渉しだいだろ」

「……っ、へぇー」

「まぁ任せとけや。交渉や取引ってやつをしたことのねーヤツは黙ってな」

「……ッへはぁ」


 完璧にダメだこりゃ。

 今日の稼ぎは……


「なに騒いでんだお前らー!!」


 そして来ました社員の監督さん。

 いてほしいときにいず、よけいな時ばっかいる。

 しかも全然騒いでないけど?

 最初からそういうセリフを用意して、入場するつもりだったんですね。


「あああ? ふざけんなよオメーらあ!」

「……」

「……」


 突然の乱入。しかも見当違いの怒声に沈黙するしかないが……


「……」


 なんでお前まで沈黙するんだ?


「……」


 次のセリフを用意してなかったんかよ。

 どーすんだコレ。


「どーかしましたか?」


 オシッコ休憩してた老紳士が絶妙のタイミングで戻ってきた。


「あ!? お前ドコ行ってた!」

「すみません。トイレ休憩へ」

「くっ」

「申し訳ありません」

「ちっ」


 老紳士の登場で気まずいこの状況を救われたはずなのに、それを利用できないのかよこの若造社員は……

 今回も荒れる必至。


「で?」


 なにが『で?』だ?

 いやそうかもだけど。

 最初にもうちっと気の利いた仕方あったんじゃね?


「こっちの人が交渉したいそうです」

「あ、お前……」


 なにイモ引いてんだ。気付かれなかったらそのままスルーする気だったんだよな。散々偉そうなこと言っといてさ。


「これ見てもらえます?」

「あー! ああーっ!? あーああああああああーああああああああああああああーあああああああああああああああああああああああーああああああああああああああああああああああああ!!」


 なんで雄叫びてんのー!?


「俺、言っただろーがぁ! あーあああ! なんで? あーあああああーあああああああ!!」

「俺じゃなくてコッチのサルモン、じゃなくて、なんだー? が!」

「くっそ! あーあああ! もおおー! なんで? あーああああ!」


 語呂なさすぎて、あーあー喚くことしかできないのか。

 猿か、こいつも猿なのか。こいつらの学名『サル・サル・ファミリア・サルモンキー・サル』とかいうに違いない。もう山行って木に登ってこいよ。遠慮しなくていいから。


「交渉、お願いします」

「あ……」


「あああ? 交渉だあ?」

「いや、別に……」


「社会経験、お願いします」

「っ……」


「だからなんの話だ!?」

「……」


 さっきの意趣返ししてやった。

 サルモンのヤツ、グーの根もでなくなってやがる。

 そして、案の定、無言で逃亡開始した。


「ちょ、ちょっと待てコラァ! これ直せや。オイ! オイ! オイ!!」


 放っておけば戻ってくるのに。監督が追いかけて呼び止めてしまった。


「もう、いいですから」

「なぁ?」

「もおっ、いーから!!」

「なにが、いーんだ!? オメー!!」


 二人の姿は見えなくなったけど倉庫入り口近くでのやり取りだから、言い争いはこっちにも筒抜けだ。


「辞めますから! もうそれでいいでしょ!」

「ああ!? かってなこと言ってんじゃねーよ」

「給料は、ちゃんと振り込んでください」

「なに言ってんだ!」

「っはあ? っはああああ!?」

「はああ、じゃねーよ! 一時間も働かずに不良品作っただけじゃねーか。時給にすらなるかよ」

「はああ!? もしかして、まさか給料払わない気なんじゃ」

「払えるか!」

「労基案件だー!! この会社は不正行為を行っているーっ!! ブラックだー!! 通報案件だーっ!! 徹底的な調査が必要だぞぉ!! 労働基準監督署に通報だーー!!」


 サルマンいきなり絶叫。

 プレハブ内で作業してる俺たちは苦笑い。


「ちょ! オマ、待てや!!」

「払わないって言った。ちゃんと聞きましたから」

「な……」

「俺のことナメてましたね。あいにくと俺は泣き寝入りすような弱虫じゃないんで」

「ふ、ふざけんなよ」


 弱虫じゃないって労基の威を借りてるだけじゃん。

 なんだか監督の立場が悪くなってるようだけど、実際にサルモンが仕事してないのは事実なんだから、流れと勢いだけでそんな弱気になる必要はないのだ。『労基』と『賃金未払い』という大きなワードにビビッてしまい論点をすり替えられている。


「いったい、何の騒ぎだね?」

「ぶ、部長!?」

「なんだか物騒な単語が飛び交ってるんだが」

「い、いえ、これは、あの、その……」


 騒ぎを聞きつけてか、役者が一人増えたようだ。

 恐縮を超えて怯えた様子で、部長と呼んだ人物に事情を説明する監督社員。


「なるほど。事情は大体分かりました。賃金はキチンとお支払いします」

「そらな! だろう?」

「ですが! それはちゃんと仕事をこなしていただいたうえでの話です」

「は?」

「そういう契約のはず。ですので、どうかお仕事にお戻りください」

「く」


 部長だけあって馬鹿のあしらいは慣れている様子。

 冷静丁寧低姿勢だけど抑えるべき理屈はしっかりと踏まえている。反論はできまい。

 これなら双方すべて丸く収まるはず。

 

「悪いが今更交渉の余地はねぇんだ」

「はい?」

「けど、どうしてもっていうなら条件付きで働いてやってもいい」

「条件? え? って……」


 条件つけれる立場でも状況でもないのに……


「働いてほしいなら、俺を社員で雇いな。悪い話じゃないだろ?」

「ふぉおお!?!?!?!?」


 姿の見えない部長の驚愕がこっちにまで伝わってきたわあ!

 隣で老紳士も噴き出してるし。

 しかし「交渉の余地はない」からのなんつー交換条件なんだ。どんな魔術的ロジックを踏めばこんな結論にたどり着けたんだ? こいつの脳みそはソウルジェムみたいな不思議愉快物質で出来てるに違いない。


「ん? なんだその千円」

「日当を時割りにすればこんなもんでしょ。どうぞお引き取りください」

「ああ? 俺はもう今日の仕事は他でもできねぇんだぞ? その分も貰わなきゃワリあわねーじゃん」

「くっ、でしたらそのままお引き取りください」

「へえぇ? 労基に……」

「どうぞ! 訴えてくださってけっこう!! こちらも弁護士をつけて、あなたの業務拒否を裁判で証明しますから! それが決まったら、名誉棄損であなたを訴えますから。お好きにどうぞ!」


 しばし沈黙。

 サルモン、千円を受け取った感じ。こちらからは見えないけど。


「チッ! あーあ、俺が入りゃ売り上げ三割アップとか楽勝なのに。この会社もながくねーだろな。だとしたら俺が入らなくて正解か。つぶれる会社に入ってもしょうがねー! あーあ、アホくさ」


 またコイツはなんて捨てゼリフを。

 お前は実質、業務怠慢で解雇されるんだぞ?

 どんな立場のつもりなんだ。

 絶対コイツはアニメやゲームのやり過ぎだ。

 自分の存在が世界に絶対に必要な『主人公』だと思っている。

 だから自分(主人公)を追放した組織(会社)は必ず潰れるってか?

 アホだ。

 現実が見えてない。

 客観的視点が持ててない。

 そういうのは中学、いや高校卒業までに修正しとけよ。ホント。


「よかったんですか部長? 自腹で千円……」

「いいわけ……あるっかっーぁああ!!」

「ヒッ」


 サルモンが去った後、監督社員が余計な地雷を踏みぬいた。 


「なんだ、あのパッパラチンパンは!? 貴様、どこで拾ってきたぁ!?」

「ひ、いえ、あれは拾ったんじゃ――」

「そなこたぁっ、分かっとるわー! どこの派遣会社じゃああ! 抗議しとけや! 二度と利用すんな!!」

「ハヒィ」


 めっちゃブチ切れてる部長。気持ちはよく分かる。


「時割りで経理に賃金要求できるかボケー!! 俺が自腹切るしかねーだろが! 大体貴様がちゃんと監督できてねーせいだろうが!」

「も、申し訳……」

「ふぅ……ホント使えねーな。お前でもこんくらいはできるだろって、期待した俺が馬鹿なのかなー? ハーハッハッハッ」

「ハ、ハハ、すみま……」

「笑いごとじゃねーよ!」

「ヒゥ!?」


 普通にすんげーパワハラ。監督の性格が捻じれるのも分かるわな。


「クソッ! 仕方ねぇな。……まぁ取り合えず、抜けた穴の分、お前が二人分働けよ?」

「へあっ!?」

「ああ? なんだ文句あんのか?」

「あ、あ、あ、あ、あぁぁぁあああ」

「俺に尻ぬぐいさせた挙句不平不満とか。どんな上級国民の方ですかー?」

「あ、あぅ、あぅ、あぅ……」

「なにイヤイヤしてんだ? なんなら、会社辞めてもいいんだぜ?」

「ヒウ!?」

「そしたらお前も、さっきのチンパンの仲間入りだ。よかったな、おめでとうございます」

「ハ、ッハア、ハッフ、ハッフぁああ」

「ちゃんとやっとけよ!?」

「あぅ、あぅ、あぅあぅ、あぅ、あぅ、あぅ……」

 

 なんか監督役の若造が可哀そうになってきた。

 でも、それって俺らが無茶苦茶馬鹿にされてるってことにもなるんだよなあ。


「あぅ、あぅ、ひゅひゅっ、あぅあぅ、あぅ、ひゅひゅ、あぅ、あぅ……」

 

 切なげな鳴き声。迷子で衰弱した子猫が死を観念してハイエナの群れに向かっていくときのような、はかなくも悲しげな声。 

 そんな嗚咽を漏らしながら監督が俺らのテリトリーに侵入してきやがった。

 顔面は崩壊。涙こそ流してないが完全に子供の泣きべそ顔。


「あ! あっ! あっあ!!」


 悲痛な感じの声をあげながら、ボルトとナットの詰まったコンテナの両手を勢いよく突っ込んだ。

 それぞれ鷲掴みにされたボルトとナット。

 無理やり掴んだせいで両手に、血が滲んでいた。

 治療するほどのケガでないにしても……

 ただ、ただ哀れ。


「ひっふ……ひっふ……」


 しゃくりあげながら、なんかそのまま部屋の隅っこに移動して、こっちに背を向けボルトとナットを締め始めたー!

 それで俺たちと一緒に作業してないことになんの?

 お前の自尊心って……

 いや俺らってそこまでミジメな存在なん?

 それより今お前の存在のほうがよっぽどさあ……

 つーか、なんなん?

 いろいろとモヤモヤする。


「監督さん、こちらの完成品は回収してよろしいですか?」

「ひっふ!?」

「もしなんなら、新たにボルトとナットをお持ちいたしましょうか?」

「……お、おう。持ってこいや! ひっふ、ひふっふーぅ……」

「はい。直ちに」


 老紳士、やっぱ紳士やったわ。


 そして夕暮れ時、俺たちの仕事は終わった。


 それからは、みんなバラバラ。


 『お疲れ様でした』って言ってお終い。


 解散して帰路につくのだ。


 駐輪所でガチャガチャとチャリを動かしてたら……


「君ぃ」

「はい?」


 老紳士に呼び止められた。


「どお? これから呑みに行かない?」

「すみません。俺はネカフェ暮らしなんで、酔ったら入店できなくなるんで」

「ウチに泊まればいいじゃん。俺もコッチじゃ一人モンだし」

「知り合ったばかりの人にそんな……」

「うーん、そお?」

「申し訳……」

「いや、ごめんね」

「え? いえ、そんな」


 なんとか切り抜けたっぽい。


「でもさ?」

「はい?」

「……君には、期待してるからね?」


 すごく嬉しそうな顔をして、老紳士は目の前から去っていった。

 その表情をみて、俺は自分のチート能力を喋ったことを少し後悔。


 実はさっきの作業中……


「俺のチート能力、勇者なんだよね」


 老紳士が自分のチートをいきなり暴露した。


「へ?」


 単調な時間に耐えられなかったんだろうけどさ。


「剣術と体術が世界最強なんだって。あとアンチマジック体質」

「それは、それは……」

「でもこの異世界は魔王もモンスターもいないよねぇ。それに、こっちも戦争は剣じゃなくて機関砲やミサイルだし、さすがに敵うかっての。あとさあ、魔法が通じない体質って魔法自体がない世界でなんの意味があるのよ?」

「いや、まぁ……」

「笑い話だよね。笑えないけど。ハハハ」

「あ、はは、はぁ……」


 ホント笑えない。


「格闘大会とかどうです?」

「チートで勝利しても意味ないでしょ。もし優勝しても総スカンだ」


 確かにそうだ。

 でも「チートも実力のうち」とかいってゲーム大会にチート持ち込む奴らからしたら老紳士のほうが馬鹿にみえるんだろうなぁ。


「で、君のは?」

「えあー、俺ですか」

「どんなチート?」

「あー、それはちょっと」

「なんだ。エッチな能力ね。でも、ちょっとうらやましいかなぁ」

「ち、違いますよ!」

「じゃ、なに? んん?」


 敵わないなぁ。絶対秘密にしておかないといけない能力なんだけど。

 でもこの人になら。それに誰か一人くらいには知っておいてほしい気持ちもある。

 だから、こっそり耳打ちで喋ってしまった。


「すごい! それはサイキョーの能力じゃないか! でかしたぞ!」


 うれしそうな老紳士のはしゃぎ様。


 だが俺は、その姿に彼の闇をハッキリと感じた。


「フゥ……」


 自転車を漕ぎながら、溜息が漏れる。

 やはり話すべきではなかったかもしれない。

 

 その後、帰り道途中にあるお好み焼き屋さんで瓶ビールと肉玉そばを注文。

 その晩飯を済ませたら、いつも寝床にしてるネカフェに入店。

 愛用のフラットシート席確保。

 PCの電源をいれて、動画サイトを検索。

 アニメを視た。

 内容は悪人のいない世界で女子高生たちが釣りしたりキャンプ行ったり山登ったりするやつ。

 平和だなあ……今日一日の毒気が浄化されていくわあ。

 清められたのち、就寝。

 でもすぐに寝られない。

 だって今日もなかなか強烈な一日であった。


 『若造の社員監督』

 さんざん偉そうなのはパワハラ被害の裏返し。選民思想を首輪にされていいように使われている。自殺する前に会社辞めたほうがいいと思うけど、社員というステータスを失っても自殺しそう。もう彼は死ぬしかないのかもしれない。


 『若輩馬鹿』

 彼は最初から最後まで進化し損ないの猿だった。自分で自分のことをこの世界の主人公だと思っている。まわりのわき役雑魚モブ(他者)が自分のために尽くし跪かないことが不思議でしかたないようだ。そんなんじゃどうせすぐに行き詰まり、犯罪を犯すしかなくなるだろう。そして警察に逮捕されて彼は叫ぶ「偉大なる俺に、そんなことをさせたお前らが悪いんだろうが! 俺は被害者だ。お前ら謝れ。補償しろ」と。これは完全に『人』の失敗作だ。持っているべき『信義』がない。だから逆に、喋れる貴重な猿として学術研究材料にはもってこいかもしれないが。


 『老紳士』

 この世界、最後の希望の種。

 でも、この世から一番先に消え去る老人だぞ?

 しかも闇を秘めている半腐れの種だわ。

 どっちにしろ今更、どうにもならん。


 『俺』

 夢も希望も捨てた。絶望はとっくに受け入れ済み。異世界に転移前からそういう人生だった。死中に活を見出すといいながら、宝くじに人生をゆだねる虫のいい死人でもある。それに多分、一等で数億円当たっても次の日ガンで余命宣告されるのも先刻織り込み済みです。だからもし当たっても嬉しがりません。やーい神様のバーカバーカ……

 そして最後に、チート能力『最後の審判』の持ち主だ。


「許してくれよ、もぅ……」

 

 それを思い起こすたびに、逃げ出したくなる。

 まわりに迷惑ならないよう小さな呼吸で何度も呟く。


「助けてくれよ」


 俺のチート能力『最後の審判』

 それは俺が裁かれるのではなく、俺がこの世界を裁く能力だ。

 俺が死亡した時点で、この世界を存続させるか滅亡させるか選択できる権利を持たされているのだ。

 まったく馬鹿な話である。


 でも、老紳士がこの能力を聞いた時のあの喜びよう……


『サイキョーの能力じゃないか!』


 彼があの時『サイキョー』と言ったのは『最強』か『最凶』なのか、どっちなの?


「勘弁してくれよ……」


 嘆いてもしかたないが。


 でも俺の能力は特別ではないと思い込む。

 そうだ。

 これは誰もが持っている平凡なチートだ。

 人は死んであの世に行くとき、閻魔様の前で、こう聞かれるのだ。


『コノ世界、存続サセルヤ? 否ヤ?』


 その多数決でこの世は成り立っているに違いない。

 だから自殺するような連中ばかりの世界なんて勝手に滅ぶのが当たり前なんだ。


「……」


 でも、じゃあ、俺に与えられたこのチートって…… なに?


 それから思考を停止して、いつも通り眠りについた。


 夢をみた。

 子供の頃のこと。

 死んだ両親や、じぃちゃん、ばぁちゃんまで出てきて、みんなでテレビ観ながらご飯食べてた。

 ゲームを中断された俺は不機嫌なんだけど。

 でも、笑ってたなぁ。

 


ありがとうございました。

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