3話・主人公転生直前の事件(前編)
1話でエタりませんとか言ってたのにもうエタりやがったとか思ってるそこの君。
大丈夫ですエタりません。
気まぐれ更新なだけです。
ということで今回は過去回です。どうぞ
〜 ミシェル side 〜
ある日のことだった。
私はとある小さな村で魔法の研究に明け暮れていた。
いつもと変わらぬ日常。
この日もいつも通り魔法の研究をしたり、友人と世間話をしたりして平和な1日を送るのだろうと思っていた。
〇〇年##月@日午前9時
私は部屋にこもって、魔法の研究に集中していた。
最近の研究テーマは時間に干渉すること。
時を操るという大層な目標など掲げず、少しでも時間の流れを遅くできたら成功でいいやというささやかな目標を持って研究していた。
そしてこの時、この研究は大詰めを迎えていた。
(魔法の理論は完璧。これで成功すれば長かった研究がついに完成する。)
私はこの研究で時間に干渉するために作った指輪に魔力を込める。
理論上、これで魔法が発動したはず。
だがこれだけじゃ時間の流れが遅くなったのか判断できない。
試しに近くにあった帽子を落としてみる。
帽子は手を離れた瞬間から普通ならありえないくらいゆっくりと自由落下を始めた。
そう、成功したのだった。
歓喜のあまり、私は友人たちにこの事を話に行こうとした。
ごぉぉぉぉぉぉ
次の瞬間、外から轟音。
そして村のみんなの悲鳴が聞こえる。
私はそれを聞き、急いで外へ飛び出す。
外へ出ると村の入り口の方に隣国の兵士《上空にはドラゴンに乗った竜騎士たちが飛び回っている》が大勢いて、私の村の村人たちを手当たり次第に殺しているところが見えた。
(どうして?)
この国と私たちの住んでいる国は同盟国だったはず。
というか私や友人たちはこの国が周りの国々と友好的な関係を築いていて戦争とは無縁の平和な国だったからこの国に滞在している。
そんな平和が一番の国に侵略ということは何か国間で揉め事でもあったのだろうと予想をつける。
(とにかく、村のみんなを守らないと。)
村のみんなは私と私の友人がこの世界でほんの少ししかいない魔法使いだとわかっても快く受け入れてくれた心優しい人たちだ。
これまで色々としてもらった恩もある。
みんなが避難を終えるまで時間を稼ぐべく私は走り出した。
「おい!俺も手伝う。」
そう言って近づいてきたのは、友人のルイス。
私と同じ魔法使いである。
去年、同じく友人で魔法使いのセシルと結婚し、子供が今日生まれる予定らしい。
つまり、子供が無事に生まれて避難を終えるまでは時間を稼がなくてはならない。
私たちは敵が魔法の射程内に入る距離まで近づくいて、敵勢力に魔法を放つ。
私たちは幼い頃から魔法の研究にハマり、これまでずっと新しい魔法の開発や新しい魔導具の発明等をしてきた。
当然この中には危険すぎてボツになった魔法もある。《流石に魔道具は処分したが》
(いい機会だしあれを使おう。)
そう言って持ってきた杖から魔法を放つ。
この魔法は、昔3人で一緒に開発した魔法。
試しに使ってみると広範囲にわたり村人たちを気絶させ1日寝かせてしまったという実績を持つ広範囲気絶魔法。
当然ルイスは対処法を知っている。
その魔法の閃光が敵陣営の中で炸裂する。
バタバタ
だがなぜかおかしい。
本来ならばこれだけでかなりの数が気絶するはずだ。
しかし、倒れたのは少ししかいない。
(なんでこんなに少ないの?何か魔法を防ぐものでも持っているのかしら。)
すると、こちらに気が付いた竜騎士たちが一斉にブレス攻撃を放った。
さすがに数が多く、常人なら避けられないだろう。
私はとっさに指輪に魔力を込める。
こっちへ飛んでくるドラゴンのブレスが急に遅くなる。
だいたい0.5倍くらいの速度になった。
だが、ドラゴンは一体でも苦戦するほどのモンスター。
ブレスは直径3メートルもありとんでもないくらい速い。
だいたい300km/hはあると言われている。
それが0.5倍だから150km/h。
私は全力でブレスの進行方向からそれる。
カッ!ズゥゥゥゥン
さっきまで立っていたところが焼け野原になった。
(ルイスは大丈夫か?)
私はルイスの方を見る。
ルイスは魔法で自分の前に分厚い光の壁を作りブレスを防いでいた。
防御魔法とでも言えばいいだろう。
「なにそれ!」
初めて見た魔法を前に私の魔法使い魂がたぎる。
「ただの盾の魔法だよ。」
ルイスは説明がめんどくさそうにそう言う。
妻の出産日が今日なので昨日から眠れず、寝不足なのだろう。
「それどうやって「撃てぇぇ」…」
私はどうやって使うのか聞こうとするが敵の掛け声が邪魔で聞けなかった。
攻撃に対処しようと敵の方を向くと大勢の兵士が矢を放っている。
私は盾の魔法をよく観察するために時間の流れを遅くし、ルイスの後ろへ周りこむ。
セルスが足で地面を鳴らすと前に光の壁ができる。
ガガガガガガガガガガ
次々と矢が当たるが壁は全く壊れない
(おぉぉ)
あまりにも頑丈なので感嘆する。
射手の一斉射撃をものともしない魔法を見て敵の方で動きがあった。
「どけ、俺が始末する。」
何やら小型のドラゴンに乗って、手には黒い色をした少し大きめのショットガンのようなものを持っているいかつい顔をした人が出てきた。
ドンッ!
ショットガンのトリガーを引き、黒い直径1mくらいの魔弾が放たれる。
その弾は、光の壁に着弾すると弾け、壁に破壊ギリギリまで亀裂を入れた。
ドンッ!
そして二発目が放たれる。
150km/hはわかりやすく言うとプロ野球で剛速球と呼ばれるくらいの速度です。