1話•転生
俺は最近ついに20歳を超えたどこにでもいるような普通の大学生だ。いや、普通の大学生のはずだった。
なぜこんな言い方をするか?それは今の状況を知って貰いたい。
今俺はそこら中が何故か白い光に包まれている謎の空間にいる。そして俺はこの空間にどうやって入ったのか分からない。普通とはかけ離れている。
これが普通だと言ったら普通とは?という疑問が湧くくらいだ。哲学。
とりあえず今までの事を思い出してみよう。
今日、俺はいつも通りに5時半頃に起床して、いつものように支度をして駅へ行き、普段と同じように過ごしていた。
しかし、午後に授業を受けている時に少しばかり眠気と奮闘していたとこらからの記憶が曖昧だ。なぜだ?
だが、今日のことで他におかしな事はない。
きっとその時に何かあったのだろう。
結局なぜこの空間にいるのか分からないということしか分からない。
(ん?なんか光が集まって来る?)
突如目の前のただでさえあたり一面真っ白な空間にぼんやりとした光の粒子が集まり出した。
少しづつ光の輝きは強くなり、
(うわ!眩し!)
突然見る事もできないほど光が強くなり、しばらくその状況が続いた。そして、だんだんと光が弱くなっていく。
(そろそろ大丈夫か)
目を開けてみるとそこには老人が立っていた。だがこの老人、普通じゃない。まあこんなところにいる時点で普通でないのだが。これが普通だと言ったら(ry
第一印象は長髪の白髪と長いヒゲ。頭上には光の輪のようなものが浮いている。白い服を着ていて、木で作られた杖を持ち、背後からほのかに黄金の光がさしている。一言で言ってしまうとみんなが想像するような神のような姿をしている。しかもなんか少し宙に浮いている。
(なんかすげぇ神っぽい人出てきたな。威厳に満ち溢れてるよ。)
「ふむ、今の時代の人類は神をこんな風に見てるのか。」
(神って見られ方とかで姿変わるの⁉︎)
そう思ったのもつかの間老人はこっちを見て口を開きこう言った。
「すまんのう人間よ。たまには神として下界の様子を見ようとしての。ちょっと間違えてお主を死なせてしまったのじゃ。」
(おお、声も低くて威厳が…ん?今なんて?死?俺死んだの?)
「…俺死んだんですか?」
「残念ながらそうじゃ。」
(という事は。)
その時、大学で授業中に学生が一人死亡というニュースで報道されたら視聴者にどんだけ勉強したくなかったんだよ。と思われても仕方がないような珍事件になっている様子が頭をよぎった。そうなってないことを願うばかりである。
(くっ考えないようにしとこう。)
とりあえず現実逃避をし、気になることを聞く。
「え?じゃあこの後どうなるんですか。」
「心配するでない。もともとわしが間違えなければこうはなっとらんかった。まさかあんなので死ぬとはのう。じゃから今からお主に選択肢をやろう。」
(あんなのって何⁉︎あんなのって。まあそれは置いといて。)
「選択肢…ですか。」
「そうじゃ。今から言うからよく聞き、よく考えて選ぶのじゃよ。」
(なんだ?俺の人生はここで終わりじゃないのか?)
「一つ、このまま記憶を失って生まれ変わりまた新たな人生を送ること。
二つ、記憶を失い異世界へと転生すること。
三つ、記憶を持ったまま異世界へと転生すること。
四つ、…. 」
これを聞いて俺の答えは決まった。
(また今の世界を生きると言っても試験や課題に追われて生きるなんて嫌だし、かといって記憶を失って転生というのも嫌だ。まだ他にも選択肢があるようだが俺の答えは3の選択肢に決めた。)
「…十五つ、」
「…長ぇよ。」
おっと、思った事がつい口に出てしまった。
神はその瞬間目を見開き、
「なん…じゃと。」
「すいません。口が滑りました。」
「まあいいじゃろう。それで答えは決まったのかの?」
「はい。三つ目の記憶を持ったまま異世界へ転生にします。」
「なんじゃそんなのか。最近暇じゃからもっと面白い例えば選択肢三十八の《転生後すぐに人生終了の危機》とかじゃとわしも見てて面白いのにのう。」
(こいつ、人の人生をなんだと思ってやがる。今俺の中でのこの神の株価大暴落してるよ。他にも色々ツッコミたいとこ有るがまあいいだろう。)
「それで転生だったかの。じゃあ今から準備してくるからちょっと待っとれ。」
神はまた光となって消えた。そして俺は思う
(転生に準備とか必要なんだ。)
数秒後にまた目の前が強く輝き、
「より詳しいことはあっちに行ってからわかるじゃろう。能力とかうんぬんはわしが勝手に決めるから心配せんで良い。では、達者でのう。」
「えっ。事前に決めたりとか教えてもらったりとかでk…」
瞬間、後ろから何かに引っ張られる感覚。
サッと振り返ってみると、さっきまでは何もなかった空間に黒い裂け目ができていた。そこからでる引力のようなものに引き寄せられる。
「なんか想像してたのと違う!」
そして神は言う
「現実は時に非情なのじゃ。」
その後、俺はこんな転生の仕方ではなく、もっとこう光に包まれてとか神々しい転生をしたくて必死の抵抗を試みる。
結局、さらに大きくなって俺を吸い込もうとする空間の裂け目から逃げようとしたのだが、頑張ってたら手のようなものが出てきて捕まれ強引に引きずり込まれた。人生で初めて死を覚悟した瞬間だった。一度死んでるらしいけど。
そして、最後にこんな声を聞いてしまった気がする。
「選択肢十三の記憶の一部を消して転生じゃ。わしを楽しませることを期待しちょるぞ。」
(なんか十増えてる⁉︎)
こうして俺は転生した。
次回そのうち掲載します。きまぐれ更新すいません。
エタったりはしないので大丈夫です。
お楽しみに!