第1話 メイドと父
2/7追記修正しました
目が覚める。
「ご気分はいかがですか?昨晩はひどい熱で大変でした。急に倒れてしまわれたのですから」
「何ともないよ」
どうやら、この茶髪ショートのメイドの娘が言うには、ここは名のある領主の屋敷で、俺はその長男だそうだ。そして昨日突然倒れて一晩中看病してくれていたらしい。
「お父様も心配なさっています。御体調が優れているようでしたら、是非お会いになってください」
「すぐ行くよ」
俺の部屋は3階にあり、今父親は1階にいるらしい。
それにしても、動きづらい。なにせこの体は10歳くらいの大きさである。今まで大人の体だった分、小さな体に馴染めない。
あれこれ考えているうちに、一階に着く。
だだっ広いリビングらしき中世風の部屋に、若い黒髪の、風格のあるガタイのいい男が立っていた。日本人に見えなくもない?
「もう体調は良いのか?心配したぞ、リョーマ」
リョーマ。それが俺の名前らしい。言わずと知れた日本人の名前のようだが、どんな理由なのだろうか。
とにかく、知らないことが、多過ぎる。そこで俺は、思い切って言ってみた。
「実は、目覚めた時から記憶がないんです」
と。
父親は一瞬驚いた顔をしたが、意外なことに笑って言った。
「お前のリョーマという名は俺の曽祖父からとっている。曽祖父もお前と同じように記憶を失い、今の領主という地位まで上り詰めた。ひょっとしたらお前は、そういう人間なのかもしれない」
父はにかっと笑い、こう言った。
「俺はナオタラード・アンダスロープ。改めてよろしくな」
この人は信頼出来る。直感でそうわかった。
坂本直足さん。うん。名前覚えた。
気を取り直して。
「こちらこそよろしくお願いします」
がっしりと握手した。
「私は側仕えのセシルと申します。よろしくお願いします」
メイドの娘が遠慮がちに言った。改めて見るとスタイルいいな。俺の見立てでは83,53,78(※個人の感想です)だ。
「彼女は博学で、記憶を失う前もリョーマの教師役だった。これから色々と教えてもらうといい」
そうして父親、ナオタラードとの初めての対面は終わった。
ーーー
3階の部屋に戻ると、俺は開口一番こう尋ねた。
「母さんは、今どこに?」
「残念ながら、去年に流行り病を患われてお亡くなりになりました」
「そうですか…」
またか、と落胆する。母親に愛されてみたかったが、叶わぬ夢となってしまったのか。
「安心してください。リョーマ様の周りには味方がたくさんいますから。私に出来ることなら何でも頼ってください」
その後、この世界について色々と質問をした。
「この世界の大勢はいまどうなっているの?」
「ここは大陸にあるアソト王国アンダスロープ領です。近隣の国々にはアムストアス王国やウーソーク国があり、同盟を結んでいます」
「そして、この世界はいたって平和です。今まで戦争の一つも起きたことがありません」




