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第2話

貴博は役所に入った。 1番近くの受付にカバンの中に入っていた紙を出す。


「ここは違いますよ。 労働者契約は2階の1番右の受付です。」


言われた通りの場所へ行き、受付のお姉さんにもう一度紙を出す。


「労働者契約ですか?」


「はい。」


「ええっと、これ紹介状ですね。高崎優里香さんからの紹介ですか。 S級冒険者・ハンター...ってえっ?S級?嘘でしょ⁉︎...あっ、失礼しました。すみません、全然イメージできなくて。」


「イメージ出来ないってどういう意味ですか?」


「いえいえ、なんでもありません。署名されているので大丈夫だとは思いますが、念のため意思確認をします。本当に大丈夫ですか?」


「署名ってなんのことですか?」


「えっ?ここに青山貴博って署名されてますけど。もしかして別人ですか?」


紹介状の最後にこの世界の文字で青山貴博と署名されていた。 ちなみに文字を読むことはできる。


(した覚えないぞ...いや、飛ばされている間に書かされたのかも)



「...はい。しました。青山貴博で間違いないです。あと、ハンターと冒険者の違いってなんですか?」


「ハンターはモンスター討伐士のことで1日で終わる依頼をこなす人です。冒険者はハンターと変わりませんが、こちらは2日以上かかる依頼をこなす人です。ちなみにS級の人は危険度S級に指定されている地上性と飛行性両方のドラゴンを討伐出来ます。」


「ドラゴン以外に討伐出来るのはありますか?」


「全部です。ただし、役所で依頼を出しているものに限ります。あと、討伐したモンスターの肉や骨などは持ち帰って売るなり自分のものにするなり自由なので使い方は任せます。」


「報酬は後払いですよね?」


「討伐したモンスターのコアという人間で言う心臓を持って帰って下さい。こちらで鑑定して、依頼したモンスターと判明したら報酬を支払います」


「分かりました」


「それでは住民登録料と王国府契約労働者登録料で合わせて8000モネスいただきます」


「えっ? お金いるんですか?」


「アルタレス王国の住民でないと働くことが出来ないことになってるので」


(金持ってないぞ...)


そこで、貴博はカバンにコインが入った袋があったのを思い出す。 それを受付のお姉さんに渡す。


「はい。ちょうど8000モネスです。こちらが住民証明書です。 そして、この腕章が王国府契約労働者の証明となります。 依頼を受ける時はこれをつけてください。」


「分かりました。 あと、家とか武器とかってどうなるんですか?」


「自分でなんとかしてください。王国府から支給されることはありません。」


ゲームだったら初めから持っていたりするが、現実は甘くなかった。


「...武器なしでもできるやつはないんですか?」


「薬草や薬石採集ですね。これでコツコツ小金を稼いで


「小金って言った⁉︎ 武器なしでガッツリ稼げるやつないの?」


「危険度が高いほど報酬も上がるので武器なしでできる依頼は限られてますね。武器なしと言ってもいつモンスターに襲われるのか分からないので念のため持って行ったほうがいいのですが」


「分かりました。薬草集めます。」


「今日は依頼が来ていないので出来ませんよ。許可された人以外は勝手に採集すると密猟になるので気をつけてくださいね」


「まじすか...。 ちなみに薬草の報酬ってどれくらいですか?」


「物によりますが大体1000〜1500モネスですね。」


「それで武器はいくらくらいですか?」


「それも物によりますが、長く使おうと思ったら高い物を買うことをお勧めします。あと、今ドラゴン討伐の依頼が入ってますけどどうしますか?」


「どうしますかって、今の状態だったら俺素手ですよね⁉︎絶対無理ですよね?」


「それは人によります」


「いやいや!俺は無理だから!マジで出来そうなのないですか?」


「ないですね。 あと、依頼も毎日来るわけではないので向こうにある掲示板をこまめにチェックしてくださいね。私からはこれくらいです。何か質問はありますか?」


「家ないんですけどどうしたらいいですか?」


「役所で家の紹介は出来ないので諦めて知人を頼るなり借りるなりしてください」


役所を出て途方にくれる貴博。仕事無し、家無し。泊めてくれるあてもない。


(ヤベェ。マジでのたれ死ぬ。どうしよう...)


すると、アンナが何かあったら気軽に来て下さいと言っていたのを思い出す。近くの薬屋へ行ってアンナがいることを確認して言った。


「すいません。今晩泊めてください。」


「いいですよ。と言うか来ると思ってました。元の世界に帰れるまで私の所にいていいですよ。」


「本当ですか⁉︎ありがとうございます!」


そして、これが貴博のフリーター生活 (ヒモ生活とも言う) の始まりだった。


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