運命の出来事(3)
学校時計を見るとすでに十六時を過ぎていたので、俺と高橋は学校から近い俺の家に向かうことにした。
高橋には俺の家で腰の様子を見てみたいと伝えた。
高橋は少し恥ずかしそうに了承してくれた。
俺と高橋は学校を出て二十分後に俺の家にたどり着いた。
俺は自転車をいつもの場所に置いてから高橋を家の中へと案内した。
親には先に連絡をしていたのでリビングに行くと母がケーキとアップルティーを用意して待ってくれていた。
俺は母に高橋を紹介した。
「お母さん、紹介するね。同じクラスの高橋由梨亜ちゃん。」
高橋と母はお互いに丁寧なおじぎをして顔を見合わせた。
顔を見合わせたあと、口を開いたのは高橋だった。
「はじめまして。この七月から木下君と同じクラスに転校してきた高橋由梨亜です。突然お邪魔してすみません。」
高橋は丁寧なあいさつで自己紹介をした。
すると今度は母が自己紹介をした。
「由梨亜ちゃんね。初めまして。拓哉の母の木下美奈子です。」
俺は母が初めてフルネームで自己紹介をしたので一瞬だが驚いてしまった。
だが高橋と母の相性が良さそうだったので少しほっとした。
自己紹介が終わったあと、俺と高橋と母の三人はしばらくリビングで高橋の転校話や俺の思い出話をしてくつろいでいた。
少しくつろいだところで高橋が今日の出来事を話始めて俺の腰を見たいと言ってきた。
気がついたら俺のお姉ちゃんも降りてきていて高橋の診察を見ていた。
お姉ちゃんは看護師を目指しているからなのかすごく興味深そうに診察を見ていた。
高橋の診察の結果、打撲をしているとのことで多少の炎症を起こしているため病院で治療を受けた方がいいとのことで俺は後日にかかりつけの病院に行くことになった。
診察を終えた高橋は時計を見てそろそろ帰ると帰りの準備をしていた。
すると、二階から俺のお姉ちゃんが勢い良く降りてきて高橋に色紙とマジックを持ち出して意外なお願いをした。
「由梨亜ちゃんだよね?良かったらサインくれないかな?私、由梨亜ちゃんの大ファンなの!」
それを聞いた俺と母はキョトンとしていて、高橋本人は少し恥ずかしそうにしていた。
すると俺と母のリアクションに気づいたのかお姉ちゃんがビックリした態度で聞いてきた。
「え?もしかしてお母さんと拓哉は知らないの?由梨亜ちゃんはあの有名な芸能アイドルSPGのメンバーなんだよ?」
俺と母はそれをお姉ちゃんから聞いた瞬間に二人して大絶叫してしまった。