生活の始まり
「ヤバ~い。遅刻する~。」
ある日、ある朝、あるアパートで、一人の少女が叫んでいた。
「もう、誰か起こしてくれたっていいじゃない。って誰もいないよね。」
どうやらこの少女は一人のようだ。
「てか、今日、テストだったよね。ヤバ~。もう出なきゃ!行って来まーす。」
元気よくアパートを出る。
この少女、ラフィニアが通う魔法学園『ヴェルハイツ学園』は、世界最大の規模を誇る魔法学園なのだ。そして、この学園では黒魔法から白魔法まで全てが習える。ラフィニアはどの魔術もそこそこ成績はいいほう。普通、白魔法か黒魔法のどちらかを集中的に特訓し、テストでは山をかけているような状況になるはずなのだが……。そんなことはさておき、ラフィニアは
「急げ~遅刻する~。」
と言いながら走って行った。
☆
ここ魔法学園では、今まさに白魔法のテストが行われようとしていた。テスト会場は学園の周りにある大きな広場だ。
「はーい。皆さん、今日は前から言ってた通り、子貴族最後のテストです。頑張ってくださいね~!」
ラフィニアは忘れていたが、実は、今日は子貴族最後のテスト。これにうかれば、今は子貴族の人も大貴族になれるのだ。子貴族とは、魔術を使えるがまだ見習い級のこと。ちなみに大貴族は一流魔法使い、それ以外の魔術を使えない者は平民として扱われる。平民の中でも力を持つ者は強平民、力がない者は弱平民とされている。ラフィニアも子貴族なのだが……。
「皆さん、静かにしてください。テスト内容は、今、頭上にある雲をテレポートさせることです。皆さんにとっては簡単ですよね。」
テスト内容の発表に、皆真剣な表情になる。その中に一人、険しい顔をした者がいた。と、そこへ
「セーフ、まだテスト始まってない。良かった~。」
ラフィニアが駆け込んでくる。
「……大丈夫?……ラフィニア。」
「んっ?あっ、アル!大丈夫。どうしたの?険しい顔して。」
「……とても重要なテストなのに、内容がくだらなすぎる。」
どうやら先ほど険しい顔をしていたのはアルと呼ばれている少女だったようだ。なぜ、アルが重要といったのか。それは先ほど説明するのを忘れていたが、大貴族になる以外に使い魔を呼び出す呪文を教えてもらえるのだ。使い魔は、いろいろな種類があり、それぞれのスキルがある。例えばドラゴン系だと空を飛べたりできる。また、自分の魔力も上がる効果もある。このテストには、人生をかけて望む人も多くない。
「アル、とりあえずテスト受けないと使い魔も手に入らないんだよ?とにかく受けよう。」
「……うん。」
ラフィニアは他の誰よりも高く手をあげて、先生を呼んだ。
「あなたたちが一番ですか?」
「はい。じゃ、早速やりますね!」
そう言って左に持つ杖を上げる。
『ホワイトワープ』
空を見上げた瞬間、雲が消える。
「はい。ラフィニア、合格ね。使い魔呪文はこの紙に書いてあるから。あっ、そうそう、大貴族として名前変えれるから、考えてといてね!使い魔召喚はどの場所でやってもいいけど魔力がある所でやるのがオススメよ!」
「先生、もうテスト終わりですよね?じゃ、帰ります。」
ラフィニアはさっさと歩いて行った。先生は、
「ラフィニアはちょっと訳がわからない。」
といい、アルは、
「……確かに」
と小さくうなずいた。そして、ラフィニアが歩いて行った方向を見つめた。
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