10-6 超能力者もいいことばかりじゃない
アンジェロの超能力イミテーションは、他人の能力をコピーしてしまう能力だ。それはアンジェロの意志に関係なく、自動でコピーされてしまう。だから、意図せず手に入れてしまった能力がいくつかあった。
能力の中には、テレポートの様にアンジェロの意志で発動できる物もあれば、アンジェロの意志に関係なく常時発動される物もある。
それらの能力の中で、アンジェロがクリスティアーノ達に、最も手に入れたくなかった超能力だとこぼしていた物がある。
それは突然、煙の様に現れた。
(やっと、見つけた)
彼が気付いて顔を上げた。
(なんだお前、なんか用か)
(驚いた。僕が見えるのかい?)
(まーな。用がないなら消えろ)
(そう言わないで。用ならちゃんとあるよ)
そうして、それはミナに視線を注ぐ。
(ミナになんか用か)
(うん、だけど、僕にはもう言葉を伝えることもできない)
(なんか言い残したことがあるのか。じゃぁ俺が伝えてやる)
(できるの?)
(できる)
そう答えると、それは嬉しそうに笑った。
(じゃぁ伝えてくれるかな。もうすぐ君に会えるよって)
どういう事かわからず、首をかしげた。
(よくわかんねぇけど、名前は?)
(あぁ、言ってなかったね。僕はアイザック。君は?)
(アンジェロ)
(そう。アンジェロ、君はミナのペット?)
(ペットじゃねぇけど……そういうアイザックはミナの何だよ?)
その質問に、アイザックと名乗ったそれは微笑んで言った。
(ミナの恋人だよ。じゃぁアンジェロ、よろしくね)
そう言ってアイザックは消えた。
オーストラリアに戻った後、またアイザックが現れた。
(アイザック、ついてきたのか)
(どうしてミナに伝えてくれなかったんだい?)
アイザックは怒っているようだった。アンジェロはその質問にプイとソッポを向いた。
(伝えられなかったんだ)
(何故?)
(アンタがミナの恋人だって最初に聞いてたら、安請け合いなんかしなかった)
それを聞いて、アイザックは肩をすくめる。
(もしかして君は、ミナの事が好きなの? だから僕に意地悪するんだね?)
(別に、そういうことじゃねぇよ)
(そう? まぁいいけど。僕も今ちょっと困っててね。伝えられないのなら、その代わりに助けてくれない?)
本当は即答で断りたかったが、アイザックの言い分だけでも聞いてみようと思った。
(どうしたんだ?)
(体に戻れないんだ。アンジェロは僕が見えるんだし、どうにかできない?)
(ムリ)
本当は出来る。アンジェロはシャーマンの能力を持っているからだ。だから霊体も視認できるし、憑依も出来た。だが、幽霊が見えるとこうやって絡まれるので、本当にこの能力には手を焼いていたから、極力使いたくない。
それに、アイザックの頼みを聞きたくなくて、ミナをとられたくなくて、断った。
(それも意地悪で言ってるの? 本当は出来るんじゃない?)
(違う)
アンジェロが突っぱねるので、アイザックは溜息を吐く。
(そう。大変な事が起きないといいけど)
不吉な事を言い残して、アイザックは消えた。




