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不死王の愛弟子  作者: 時任雪緒
10 オーストラリア編
96/140

10-6 超能力者もいいことばかりじゃない

 アンジェロの超能力イミテーションは、他人の能力をコピーしてしまう能力だ。それはアンジェロの意志に関係なく、自動でコピーされてしまう。だから、意図せず手に入れてしまった能力がいくつかあった。

 能力の中には、テレポートの様にアンジェロの意志で発動できる物もあれば、アンジェロの意志に関係なく常時発動される物もある。

 それらの能力の中で、アンジェロがクリスティアーノ達に、最も手に入れたくなかった超能力だとこぼしていた物がある。



 それは突然、煙の様に現れた。


(やっと、見つけた)


 彼が気付いて顔を上げた。


(なんだお前、なんか用か)

(驚いた。僕が見えるのかい?)

(まーな。用がないなら消えろ)

(そう言わないで。用ならちゃんとあるよ)


 そうして、それはミナに視線を注ぐ。


(ミナになんか用か)

(うん、だけど、僕にはもう言葉を伝えることもできない)

(なんか言い残したことがあるのか。じゃぁ俺が伝えてやる)

(できるの?)

(できる)


 そう答えると、それは嬉しそうに笑った。


(じゃぁ伝えてくれるかな。もうすぐ君に会えるよって)


 どういう事かわからず、首をかしげた。


(よくわかんねぇけど、名前は?)

(あぁ、言ってなかったね。僕はアイザック。君は?)

(アンジェロ)

(そう。アンジェロ、君はミナのペット?)

(ペットじゃねぇけど……そういうアイザックはミナの何だよ?)


 その質問に、アイザックと名乗ったそれは微笑んで言った。


(ミナの恋人だよ。じゃぁアンジェロ、よろしくね)


 そう言ってアイザックは消えた。




 オーストラリアに戻った後、またアイザックが現れた。


(アイザック、ついてきたのか)

(どうしてミナに伝えてくれなかったんだい?)


 アイザックは怒っているようだった。アンジェロはその質問にプイとソッポを向いた。


(伝えられなかったんだ)

(何故?)

(アンタがミナの恋人だって最初に聞いてたら、安請け合いなんかしなかった)


 それを聞いて、アイザックは肩をすくめる。


(もしかして君は、ミナの事が好きなの? だから僕に意地悪するんだね?)

(別に、そういうことじゃねぇよ)

(そう? まぁいいけど。僕も今ちょっと困っててね。伝えられないのなら、その代わりに助けてくれない?)


 本当は即答で断りたかったが、アイザックの言い分だけでも聞いてみようと思った。


(どうしたんだ?)

(体に戻れないんだ。アンジェロは僕が見えるんだし、どうにかできない?)

(ムリ)

 

 本当は出来る。アンジェロはシャーマンの能力を持っているからだ。だから霊体も視認できるし、憑依も出来た。だが、幽霊が見えるとこうやって絡まれるので、本当にこの能力には手を焼いていたから、極力使いたくない。

 それに、アイザックの頼みを聞きたくなくて、ミナをとられたくなくて、断った。


(それも意地悪で言ってるの? 本当は出来るんじゃない?)

(違う)


 アンジェロが突っぱねるので、アイザックは溜息を吐く。


(そう。大変な事が起きないといいけど)


 不吉な事を言い残して、アイザックは消えた。 

 

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