10-1 いつもお世話になってます
クリシュナの事でお世話になったので、ヴィンセント達は一旦インドに行くことにした。ちなみに移動に関しては、非常に便利なアンジェロのテレポートで行っている。どの道ミナはアンジェロを抱っこして連れていくつもりだったので、自然とそうなった。
ミナはクリシュナの事を記憶していない。その事をシャンティ達にコッソリと伝えて話を合わせてもらっていた。シャンティ達は非常に悲しそうにしていたが、仇を討った事を伝えると、少しは溜飲が下がったようだった。
その様子を眺めつつ、ミナは不思議に思う。
(どうしてみんなはヴィンセントさんのお兄さんの事を知ってるんだろう?)
ミナは知らないのに、ミナ達がスカウトしたシャンティ達の方が知っているなんて、ミナにしてみればおかしな話だ。そうは思ったが、シャンティ達の感傷的な様子を見ていると、いつ知り合ったのかなんて聞くに聞けなかった。
話しは移って、シャンティがミナの膝の上に丸まっている猫を指さした。
「その猫、ミナ様のペットか?」
ミナは一旦アンジェロを抱き上げると、ソファに乗せた。
「ペットじゃないよ。彼氏」
えっと驚いて全員がミナに視線を注ぐ。勿論アンジェロもだ。特にシャンティ達は、記憶を消した副作用で頭がおかしくなってしまったんじゃないかとか、色々心配が渦巻いている。
そしてヴィンセント達は、いつの間に彼氏になったんだと驚いている。アンジェロもだ。
シャンティ達が驚いているのを見て、ミナは笑った。
「本当は人間なんだよ。ね、アンジェロ」
促されたのでアンジェロは人間の姿に戻った。それを見て驚きつつも、ホッと胸をなでおろすシャンティ達。
そのアンジェロの腕にミナが抱き着いて、悪戯っぽく笑う。
「なんちゃって。正確にはまだ彼氏じゃないの。今アプローチ中」
ホッと胸をなでおろす吸血鬼。
アンジェロはシャンティ達にとりあえず自己紹介して、何故猫になっているのだという面倒な質問が来る前に、さっさと猫になった。
「あ、もうにゃんジェロになっちゃった。もー。もう少しくらいアンジェロでいてくれてもいいのに」
「にゃーん」
猫になることの最大の利点と言えば、何を言われてもニャンニャン言っておけばよいことである。アンジェロは何気に猫生活を気に入っている。
またミナの膝の上に載って丸まったにゃんジェロを見ながら、シャンティが尋ねた。
「ミナ様、イタリアはどうだ?」
「あ、今私達イタリアじゃないんだ」
「そうなのか。どこ?」
日本や今まで行った地域は今の時期冬だというのに、南半球であるこの国は夏真っ盛りで、現住者とレンジャーを極稀に遠くに臨むだけだ。
赤土のその広大な砂漠は1万平方キロメートルにも及び、一部のルートであれば4WDでなら砂漠を横断する事は可能だが、過酷な環境ゆえに夏は閉鎖されてしまう、そこはシンプソン砂漠。
大陸のほとんどは砂漠に覆われており、大陸中央部にあるシンプソン砂漠には、ほとんど人が住んでいない。
人口の多くと大都市は沿岸部に集中している、自然の宝庫であるその国は、オーストラリア連邦である。




