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不死王の愛弟子  作者: 時任雪緒
9 フィンランド スポーツ大会編

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9-5 ドラクレスティ一族家訓 面倒くさくなったら殺す


「あの人どうしたんですかね?」

 血塗れの雪原で、スマートフォンを握りしめながら悶絶するジュリアスを見つめながらヴィンセントに尋ねると「さぁな」と溜息交じりに返事が返ってくる。

「大方、策が尽きたのだろう」

「その辺り三流ですよね。策が尽きたくらいで、なんだって言うんですかね」

「はは、お前も成長したな」

 

 そんな話をしていると、ジュリアスが起き上がってこちらを睨んでいる。

「何故だ……何故なんだ! 何故伯爵なんだ! 何故アンジェロなんだ!」


 そう喚いているのを見てから、ヴィンセントを見上げる。ドン引きしながら。

「えぇ……これ私、解答しなきゃダメですか」

 人数が一人になったからと言って、ミナのトラウマは払拭されない。キモいものはキモいのである。


 苦笑交じりにヴィンセントが「答えてやれ」というので、ヴィンセントが言うのならば仕方がないと、渋々ジュリアスに視線を注いだ。

 ミナが注視したことで、ジュリアスの視線は期待と不安と警戒をないまぜにしたような複雑な視線に変わる。

 そんな事はお構いなしに、ミナは言った。


「私があなたを選ばないのは当然でしょ。だって、私はミナ・キングじゃないもん」


 ミナからすれば当たり前の事だ。しかし、ジュリアスにはそうではなかったようで、その表情には驚愕と悲哀が浮かんだ。

「何故だ! 関係ないだろう! 伯爵は俺のミナを奪った! ならば俺が伯爵のミナを奪ったっていいはずだ!」


 その言い分を聞いて、やっぱりミナはドン引きする。

「うわぁ、ヴィンセントさんあの人ヤバい。マジモンのサイコパスですよ」

「この100年で大分拗らせたな、奴は……」


 そしてミナとヴィンセントは顔を見合わせる。

「面倒臭い。殺すか」

「ですね」


 ドラクレスティ一族家訓 「面倒くさくなったら殺す」「どうせやるなら徹底」


「じゃぁ私酸素行きまーす」

「では私が水素を精製しよう」

 二人は雪と空気中の窒素と酸素を急激に加熱し、酸素と水素からトリチウムを精製した。土中の僅かな放射性物質を集積し、ヴィンセントと手を取り合ってトリチウムと融合。すると、すぐに反応が起き始めた。


 仲良く握る掌の中から、まばゆい光があふれ始める。

「彼女に会いたいなら、あの世でどうぞ」

「さらばだ」

 二人が同時に放った物体がジュリアスに到着した時、その物体は赤く輝きだし、猛烈な轟音と爆炎を上げ、大爆発を起こした。

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