9-4 僕の発明品を勝手に使わないでください
スマートフォンを取り出してアプリを起動する。このアプリによって起動される兵器は対吸血鬼殲滅型兵器。
いくらヴィンセント達が最強の吸血鬼だとしても、衛生軌道上から太陽光線を収束して放つレーザー兵器の前には塵となる。
ジュリアスも巻き添えを喰らうかもしれないが、ただ死ぬ事に比べれば、道連れに出来ればそれでいい。
「とってもとっても危ないので、スマホを落としても拾った人が使えないように、わざと扱いにくく設計してありますからね」
レミはそんな事を天使の笑顔で言っていたが、この非常時にそれでは困る。
早く、早く!
自分を急かしながら操作をしていると、自分を守るように立ちはだかったもう一人のジュリアスの背中から、血塗れの透明な剣が現れ、そしてジュリアスが石化して崩れ去ると、その向こうにはミナが立っている。
「くそ! くそ!」
「この非常時に、なにケータイいじってんのよ」
無情にもミナの剣によってスマートフォンは弾き飛ばされてしまったが、その画面に映っているものを見て、ジュリアスは目を見開いた。
起動された。後はENTERを押すだけ。飛んでいくスマートフォンに必死に追い縋り、何とか引っ掴んだ。
「死ねぇぇぇ!」
チェックメイト。王手を指すのは自分だ。死なばもろとも。
興奮と高揚感に浮かされながらENTERをタップした。
すると、画面に映し出されたのは、レミの変顔写真と「GAME★OVER」の文字。その画像が消えた瞬間、スマートフォンはうんともすんとも言わなくなり、電源すらも入らなくなった。
「レミ、お前またケータイいじってんのか?」
「んー、ちょっとね」
「目ェ悪くなるぞ。程々にしとけ」
「うん、大丈夫。もう終わった」
砂漠の荒野の一軒家。滞りなくハッキングを済ませたレミは、ソファにぽいっと携帯電話を放り投げた。




