表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
不死王の愛弟子  作者: 時任雪緒
8 イギリス編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

82/140

8-7 人形を失った男の末路


「どうした?」

 ミナを下ろして尋ねると、俯いたまま口を開く。

「伯爵、わたくしは伯爵を愛しています。心の底から」

「あぁ、私もだ。ここから逃げ切れたら、永遠に二人で生きよう」

「はい。わたくしは、伯爵と運命を共に致します。永遠に、地獄までお供いたしますわ」

 そう言ってミナが抱き着いてきた瞬間、胸に激痛が走った。

「ぐっ……ぁ……ミナ、なぜ……お前が……」

 回した腕で、ミナはヴィンセントとミナを、ジュリアスが手にしていた銀の剣で刺し貫いていた。

「伯爵、わたくしは……あなたを愛しています」

 剣の刺さった箇所からパキンと石化が始まる。

「ミナ、私も愛している。なのに、何故……」

「伯爵、あなたを愛しています……でも、わたくしは――人間です」

 ゆっくりと目を瞑ると、ミナは改めてヴィンセントを見つめた。

「伯爵……私と一緒に、わたくしが人間である内に、死んでください」


 朝日が昇る。暁光と共に石化の進行は一気に加速し、ミナは砂塵となっていく。

「ミナ……消えるな……ミナ、ミナ!」

 ヴィンセント一人を残して、ミナの「砂」は風に舞って消えた。呆然とミナの消えて行った空を見つめていると、ドカドカと背後から足音が聞こえた。


「キング嬢をどこへやったんだ? 伯爵」

 銃を構えながら、初老の男が近づいてくる。

「お前が、ヘルシング教授か。私をここまで追い込むとは、大したものだ」

 嘲笑するように笑って、胸に刺さった剣を抜く。

「彼女をどこへやったと聞いている」

「さあな」

 返事と共に持っていた剣を教授に向かって投げつけるが、剣は躱されて虚空を切って壁に突き刺さり、それと同時にバン! と一つ音が響いて、腹に銀弾を撃ち込まれた。

「彼女まで殺したのか!」

「そう、かもしれないな」

 ミナに刺された傷は、辛うじて心臓を逸れているものの、重症だ。銀の剣に斬られた傷も、銀弾による弾創も、修復してくれない。

 このままでは、ヴィンセントはこんな、たった5人の男達に倒されてしまう。


「くっくっくっ……ヘルシング教授。お前は、お前たちは本当に大したものだな。倒すという一念のみを持って戦う人間とは、かように素晴らしい物か。この私が逃げを選ぶなど初めてだ。全く持って屈辱だ、だが、嬉しい」

 朝日と共に、無数の蝙蝠に姿を変えて、空に飛び立っていく。

「できる事なら1世紀前に会いたかったものだ。お前達は、実にすばらしい。そして憎くてならない。では、諸君、さようなら」


 そうして、ヴィンセントはロンドンの朝焼けを背景に、蝙蝠と共に消え去った。



イギリスの頃の話。100年も前の話。ヴィンセントとジュリアスの因縁。その話を聞いてミナは胡乱げにアンジェロを見上げた。

「それ、ヴィンセントさんが悪くない?」

 アンジェロは苦笑する。

「ぶっちゃけ、俺もそう思う」

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ