7-12 お姫様みたいに助けを待つとかお前には無理だってわかってた
その頃、アンジェロはクリスティアーノ、ジョヴァンニ、レオナルド、レミを連れてミナの待つ家に戻っていた。いや、正直な話、ミナが待っているというのはほとんど願望である。結構大急ぎで戻ったにもかかわらず、その証拠に空間転移して家に到着したアンジェロはやっぱり項垂れた。
「あぁー! やっぱりいねぇし!」
なんとなくそんな気がしていたが、置いてきたはずのミナがいない。あれだけヴィンセント達の事を心配していたし、いてもたってもいられずに飛び出してしまったのだと容易に想像できた。かといって、ここはフィンランドからも遠く離れた土地。ミナどころかヴィンセントだって簡単に移動する事は出来ないのに。
仕方なしにアンジェロとレオナルド二人がかりで千里眼を使っていた頃。ミナは勢いで家から飛び出したものの、全力疾走した先の景色を見て、自分の状況にようやく気付いた。
てっきりフィンランド近郊だと思って着込んできた防寒着が無駄になるほどの焦熱。一面の銀世界だと思っていたミナの目の前に広がるのは褐色の広大な砂漠。
「ここは一体、どこなのよー!?」
ミナの叫び声は虚しく砂漠にこだまする。
アンジェロ達がようやく千里眼でミナを見つけると、アンジェロがミナを迎えに行って、改めて家に戻った。しかしミナの興奮は冷めやらない。
「ねぇ、アンジェロはヴィンセントさん達の所に行ったんでしょ!? なにがあったの!? 教えて!」
アンジェロは詳しい状況を伝える気はない。そうしてしまったら、ヴィンセント達がミナの記憶を消した意味がなくなるからだ。そして、ミナに伝えてしまった事でヴィンセントに恨まれるのも嫌だし、ミナの気持ちを思うと伝える気にもなれなかった。
だから、代わりに昔話をすることにした。
「なぁ、お前はどうして、課長があれほど伯爵恨んでいるか、知ってるか?」
ヴィンセントの昔話などロクに聞いたことのないミナは首を横に振った。それを見届けて、アンジェロが話を続けた。
話は100年前に遡る。第一次産業革命によって、工業を筆頭にした産業の発達が著しい時代。その時代に多くの富を築き、世界中に植民地を開いた王国、大英帝国。
100年前のイギリスが、この事件の発端となる。




