表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
不死王の愛弟子  作者: 時任雪緒
7 フィンランド編
72/140

7-9 イタリア陸軍不把握体・特殊機構体強硬対策特別執行部対特殊機構体特別捜査課特殊機構体急襲遊撃班


 レオナルドが布を引っ張ると、出てきたのは巨大な迫撃砲。普通の迫撃砲よりも巨大なそれは、超長距離狙撃用に改造された”イービルアイ”だ。そしてレオナルドがイービルアイの照準器を覗き込む。彼の瞳孔が極限まで開いて、超長距離の視界を確保する。照準を合わせトリガーを引くと、すさまじい衝撃の後射出された砲弾は、10km先の別荘の1階の窓に着弾して爆発を起こした。迫撃砲でありながら、砲台を微調整しながらレオナルドが照準を合わせることで、確実に個人を狙撃していく。その実力はコードネーム「魔弾の射手」に相応しい精密さだ。


 レオナルドが砲撃を畳み掛けている間に、コードネーム「スピードスター」クリスティアーノは既に動き出していた。白い服に身を包んで雪に隠れながら、目にもとまらぬ速さで疾走する。別荘までの間にある丘、川、雪原を瞬く間に駆け抜ける。自分の頭上を行く弾丸よりも早い速度で。

 ヴィンセント達がその姿を捕捉できたと思った瞬間には別荘に肉薄し、地面が陥没するほど足に力を入れると大きく跳躍、そのまま3階の東の端の部屋に飛び込んだ。

 勿論、一人で乗り込むクリスティアーノの仕事が邪魔されないように、ヴィンセント達には夥しい数の銃弾が撃ち込まれ、しかも的確に狙撃して来るのでなかなか身動きが取れない。なにしろSMARTの使う銃弾は、全て銀製のものだったからだ。鉛玉と違って銀製の弾丸は、吸血鬼にとっては致命的だ。


 下手に被弾しないようヴィンセント達が身を潜めている間に、クリスティアーノは自分の仕事に取り掛かることにした。

 レミによるとミナはこの部屋にいるはずだったが、ミナの姿はない。騒動に気付いて階下に降りて行ったのだろうか。そう考えていると、紫色のモノが視界に入ってきた。

(これは……)

 手に取ったのはミナの靴。ラベンダー色のお気に入りのパンプス。ジュリアスが買って、アンジェロに渡された靴。

 クリスティアーノがパンプスのヒールを折ると、中からは発信機が出てきた。レミが開発した超小型精密発信機は、衛星を介して広域探知が可能な代物である。ジュリアスたちはこの靴の発信機から居場所を特定する事が出来たのだが、この靴が脱ぎ捨てられているという事は。

「課長、ミナはここにはいません」

「なんだって!」

 無線でそう伝えた瞬間、激昂した様子のジュリアスが、ジョヴァンニを伴って傍に瞬間移動で現れた。そしてクリスティアーノの持つ靴を見て状況を察し、その靴を奪い取って床にたたきつけた。

「くそ! ミナをどこへ隠した!」

 そう喚いてジュリアスは階下へ向かう。ジュリアスはヴィンセントの仕業だと思っているようだが、クリスティアーノ達にはそうは考えられない。ミナの靴に発信機が仕込まれているとわかった上で、それを捨てたのは間違いなくアンジェロだ。

 クリスティアーノとジョヴァンニは体制を建て直し指揮を執るように申し入れるが、ジュリアスには聞き入れてもらえない。仕方なくクリスティアーノが無線でレオナルドに攻撃中止を伝えると、攻撃がやんだと同時に1階に到着した。



 硝煙の匂いと、埃。煉瓦や構造材が破壊されてもうもうと煙が立ち込めている。死んではいない様だがクライドが倒れ伏し、ボニーが痛みに呻いている。その二人を庇うように立ち塞がるメリッサとヴィンセントも体中から血を流し、ジュリアスを睨みつける。

 そんな二人に対して、ジュリアスはやはり喚き散らした。

「ミナをどこへやった! どこへ隠した! すぐに引き渡せ!」

 強襲を受けたことに対する苛立ちはあったものの、ジュリアスの言い分にヴィンセントは眉をひそめる。


 ミナはアンジェロが連れ去ったはずなのに、その情報がジュリアスに届いていない。ミナやヴィンセント達がここにいるという情報は受け取っていたようだが、連絡が行き違ったのか。そう考えたが、この状況はかえって好都合だった。

 ミナの記憶を消した。ミナは何も知らなくていい。だから、ミナのいない内に済ませてしまえばいいのだ。アンジェロには散々煮え湯を飲まされたが、この好機を逃す手はない。ここで勝負を決した後、ミナを探しに行けばいいのだ。


 そう考えたヴィンセントは不遜に笑った。

「貴様にくれてやるものなど、何もない」

 そう言って、3匹の黒犬を召還する。

「いい加減、決着をつけようではないか。そして、犬の餌になるが良い」

 獰猛に暴れ狂う3匹の黒い影が、ジュリアスたち3人を飲み込んだ。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ