7-4 お前が来るのを待っていた
今回は短いです。ていうか短すぎた……
コココガチャ失礼しまーす、といつものように返事を待たずに入って来たアンジェロだったが、ヴィンセントの部屋を見回して、そこにいるメンバーを一人一人見ていった後、ミナで視線を止めると、そのまま「失礼しましたー」と下がる。
一体何なんだとメリッサ達はそれを見ていたが、ヴィンセントは突然閃いた。
「アンジェロ、待て」
今にもドアを閉めようとしていたアンジェロだったが、ヴィンセントの声に「はい?」と再びドアから顔を覗かせた。
「私に聞かせたい話か? それとも聞きたいことがあるのか?」
ヴィンセントの問いかけにアンジェロは遠慮する様子を見せたが、ヴィンセントは続けた。
「聞かれて困るのはミナだけか?」
その問いかけに対してアンジェロは反応に困ったようで立ち尽くしていたが、代わりに北都が手招きした。
「こっちにおいでよ。ミナは今意識がないから、アンジェロが何を話しても問題はないよ。僕もミナには黙っておいてあげるし、ヴィンセントの耳に入った以上、ここにいるメンバー全員にはいずれ伝わる事だからね」
アンジェロは北都の言い分に訝りながら尋ねた。
「お前……誰だ?」
見た目はミナそのものなのに、ミナから漂う雰囲気やその話し方からは、ミナにはない賢さがうかがえる。まるで自分の事を他人のように話すミナに、アンジェロは不思議そうにした。
「僕は北都。ミナとは別の人格だから、心配しなくていいよ」
「多重人格なのか?」
「そう思ってもらって構わないよ。ほら、こっちにおいでよ」
改めて北都が手招きするので、アンジェロは指定された席におずおずと言った様子で腰かけた。
それを見届けて、ヴィンセントが尋ねた。
「で、相談か? それとも提案か? 質問か?」
「質問があります」
「ほう、なんだ?」
質問を受ける姿勢を見せたヴィンセントに、アンジェロは姿勢を改めた。
「なぜ、ミナには課長の記憶がないのですか?」
その質問を受けて、ヴィンセントはその口に優雅に弧を描き、満足そうに笑った。
「お前がその質問をしてくるのを、私は待っていた」
ヴィンセントの返答にピクリと眉をひそめたアンジェロに、ヴィンセントは続けた。
「正確には、ミナはジュリアスの記憶を失ってなどいない。そもそも最初からジュリアスの記憶などない」
そんなはずはない、とアンジェロは首をかしげる。
「どういうことでしょうか?」
「そうだな、最初から説明してやろう」
そしてヴィンセントは、クリシュナの記憶を消すに至った経緯を話し始めた。




