5-8 ヴィンセントの愛弟子を取り戻すのよ
「ちょっとちょっとなにー!? どゆことー!?」
「せめて説明くらいしろよー!」
大パニックのボニーとクライド。
「ヴィンセントったら……」
よよよ、と溜息を吐きながらソファに倒れこむメリッサ。メリッサは深く溜息を吐いて、ヴィンセントから聞いた話を思い出していた。
ヴィンセントはメリッサにだけは、クリシュナの事を話していた。その事を問い質すつもりだったことも。その事で何かトラブルになったのだろうという予測は出来る。
(だからって、置いてけぼりはないじゃない)
何も聞かされず消えてしまっては、3人はどうしたらいいかが分からない。何もせずに指をくわえて待っていろとでも言うのか。いや、そんな事は出来ない。
とりあえずヴィンセントは勝手に消えたのだから大丈夫だろう。問題はミナとクリシュナだ。ヴィンセントから聞いた情報を集めれば、ミナとクリシュナの居場所を探すことは不可能ではない。それもヴィンセントが帰ってくれば一発でわかることだが、ヴィンセントがいつ帰るかもわからない。
二人を探すことはできる。しかしこの状況をどう定義したらいいか。いや、どう考えても。
「ボニー、クライド」
声を掛けると、二人は何とか落ち着きを取り戻してメリッサを見た。
「ミナちゃんを探すわよ」
「えっ、どうやって?」
「つーか、なんでクリシュナとミナは消えたんだ?」
クライドの質問に、メリッサは首を横に振った。
「二人で消えたのではないわ。ミナちゃんは、攫われたのよ」
「えっ!」
驚いた二人は顔を見合わせて「まさかぁ……」と呟いたが、メリッサはそれを一蹴した。
「攫われたのよ。ヴィンセントがミナちゃんを手放すはずがないわ。たとえ相手が実の兄であろうとも」
立ち上がりながら溜息を吐いて、メリッサは続けた。
「ヴィンセントにとって眷愛隷属と言うのは、それほど大切なものなのよ。ヴィンセントの大事な愛弟子を取り戻す。私が動くのに、これ以上の理由はいらないわ。あなた達は?」
問いかけられて慌ててボニーが立ち上がった。
「アタシも探しに行く!」
続いてクライドも「俺も!」と立ち上がった。それを見てメリッサはうなずいて、3人で城を後にした。




