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不死王の愛弟子  作者: 時任雪緒
5 イタリア編
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5-5 みんなのせいで台無しだよ

 しんと静まり返った部屋の中、またクリシュナと二人きり。アンジェロに邪魔された続きだとでも言う様に、微笑んだクリシュナがミナの頬を撫でて、口付けを交わした。

 クリシュナはとろけるような視線でミナを見つめる。少しだけの恥ずかしさと、溢れるような幸福感。きっと人間が相手では、こうも純粋に心から幸福に浸れないだろう。

 クリシュナを好きになって、クリシュナに好きになってもらって、本当に良かったと思う。


「ねぇミナさん」

 ミナを見つめていたクリシュナがおもむろに口を開く。「はい」と返事をすると、少しだけクリシュナは言い難そうに口籠ったが、すぐに話を続けた。


「ミナさん、僕と一緒にここで暮らしませんか?」


 予想外の言葉に、思わずのけぞって驚いた。

「ミナさんと、ずっと傍にいたいんです。誰にも、ヴィンセントにも渡したくない」

「でも……」


 ヴィンセントとはクリシュナが心配するような事にはならないと思う。なんとなくヴィンセントは、心の中に誰かが住んでいるような気がするのだ。

 それに、普段のミナへの対応を見る限り、ヴィンセントはミナの事を見る時、良くて娘、悪い時はバカ下僕であることは間違いない。


 しかし、ミナにとってヴィンセントは師匠であり、第二の父のような存在だ。今までずっと何年も一緒に暮らしてきて、離れがたいと思う程には情はある。

 戸惑うミナに、クリシュナは続ける。


「わかりませんか、プロポーズですよ」


 ミナが驚いて口をあんぐり開けたところで、コココガチャ「失礼しまーす」と、再び扉があいた。



 扉の向こうには先程のアンジェロと、金髪の男がさらに2人追加されていた。追加の男達はミナを見ると、口々に言った。

「わ、本当に女だ」

「うわ、マジか課長」

「東洋人か。中国? 韓国?」

「名前の響きは日本ぽいな」

「日本人かー。ニンジャの知り合いとかいるかな」

「ニンジャってお前」

「課長が女を連れ込むとはねぇ」

「彼女、結構可愛いね」

「てか若いね」

「若いと言うか幼い」

「てか久々に若い女見た」

「いーなー課長。俺も彼女欲しい」

 ドアの所から一しきりミナを見ながらなんやかんや言っていた男達は、満足したように頷いたアンジェロが「失礼しました」と促して、ドアを閉めて出て行ってしまった。


 この国の法律に則るなら、ミナの肉体年齢はしっかり成人している。今は、そこは置いておくとして。

 自分以上に、隣で頭を抱えるクリシュナが居たたまれない。


「アンジェロさん、秘密にしてくれなかったみたいですね」

「アンジェロがああいう奴だって、わかってたはずなのに……!」


 しばらくクリシュナが落ち込むのを慰めていると、先程のプロポーズの事を思い出した。

 クリシュナが元気を取り戻すのはもう少し先になりそうで、もうすぐ日の出の時間でもあるし、この日はもうお開きにしようと言う事になった。


 落ち込むクリシュナには申し訳ないが、一緒に住むかどうかという話がお流れになったのでミナは少しほっとして、密かに失礼な部下たちに感謝した。 

登場人物紹介


【アンジェロ・ジェズアルド】

コードネーム:コピーキャット

クリシュナの部下。秘書であり、部下たちのリーダーでもある。

組織の中では最も多忙を極め、最も良い結果を持って来るという非常に優秀な男なのだが、いかんせん「いい性格」をしているので、クリシュナを疲労させる存在である。


【クリスティアーノ・インザーギ】

コードネーム:スピードスター

仕事でもプライベートでも、アンジェロの副官的立場であり、親友である。

アンジェロの通訳という名のフォローに回ったりしなければならない苦労人であり、常に半笑いを絶やさない協調性の権化のような男である。


【レオナルド・ジュリアーニ】

コードネーム:魔弾の射手

アンジェロとクリスティアーノより少し年下。

普段はチャラチャラヘラヘラしているが、仕事中は人相が変わるレベルで人格が変わる。

彼女が欲しい。

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