5-1 旅行の計画はしっかり立てましょう
イタリア共和国
イタリア半島およびその付け根に当たる部分と、地中海に浮かぶサルデーニャ島、シチリア島からなる。首都はローマ。キリスト教の聖地であるローマには毎年数十万人もの人が足を運ぶ。
ローマ市内には世界最小の主権国家ヴァチカン市国があり、教皇が治めるキリスト教の総本山である。
「さすがに飛行機ははえぇな!」
「まだ夜じゃん! さすが飛行機!」
夕方にインドを発って、着いたのは夜中。さすがに飛行機は早い。でも、やっぱり無駄遣いはしちゃダメだと思う。
「ヴィンセントさん、この飛行機どうするんですか?」
「売る」
言うと思った。
「ていうか、インドにおいてきた車とか、どうするんですか?」
「放置」
聞いたミナがバカでした。
入国審査はヴィンセントの魔眼でさくっと切り抜け、ガリレオ・ガリレイ空港を出て、ミナ達はフィレンツェへ向かった。
「ローマじゃなくてマジでよかった」
「本当ですね。これでローマ行くとか言ったら反乱モノですよ」
「それにしてもフィレンツェは綺麗な町ねぇ」
花の女神フローラの名を冠した町フィレンツェ。
神聖ローマ帝国の支配下に置かれてから何度も君主が変わり、数々の戦争を体験した町。それでいて文化や芸術の発達は秀逸で、大聖堂や美術館が数多く存在し、かの有名なレオナルド・ダ・ヴィンチや、ラファエロ、ミケランジェロを輩出し、ルネサンス芸術に大輪の花を咲かせた文化の都。
ミナ達を乗せた車は郊外に走り、少し小高い丘の上にあるヴィラ・サン・ミケーレと言うホテルについた。
「うわぁ、なんか趣がありますね」
「だね。なんかただ豪華じゃなくて歴史を感じるっつーか」
皆で感嘆の声を漏らしながらエントランスに入る。
「何してる。いくぞ」
ボニーと話している間にヴィンセントはチェックインを済ませていたらしい。
「えっとぉ、ミケランジェロ・スイート……あ、ここだ」
ドアを開けると、修道院の趣を残した、素朴で、でも綺麗に設えた部屋が現れた。ゴトゴト棺を置いて、皆で部屋を冒険しだす。
「やべー! 川が見える!」
「バーがついてる!」
「街並みきれーい!」
「ファブリックがオシャレで素敵だわ」
ひとしきりみんなではしゃいで疲れたので、この日はもう休むことにした。
翌日、みんなで今後の行動を会議する。
「とりあえずは、家よね」
「この国では襲撃やめましょうね」
「あ? なんでだよ?」
「こんな国で騒ぎ起こしたら騎士団が来ちゃいますよ」
「……それもそうだな。じゃぁどうすんだよ?」
「どうしましょう? 上手い事空き家が見つかったりしないかなぁ」
うーん、と考えているとボニーが顔を上げる。
「悩む必要なくない? 買えばいいじゃん」
「あぁ! そっか!」
「びっくりするくらい思いつかなかったぜ」
略奪に慣れてしまって思いつきもしなかった自分が悲しい。気を取り直してヴィンセントの方に目を向ける。
「金か?」
「はい。あとどのくらいあります?」
「さぁな」
「さぁな!? 把握してないんですか!?」
「たくさんあるにはある」
「……これから資金管理は私がしますから」
お金を入れているケースを開くと、確かにたくさんあった。紙幣の束を纏めて数えていく。数えたお金をケースに戻して、ヴィンセント達の元に戻った。
「450万ユーロとちょっとでした。飛行機売るならまた少し帰ってくるだろうし十分です」
俺ら金持ち、と喜ぶカップルの隣でヴィンセントとメリッサは微妙な顔をしていた。
「足りるかしら……」
「微妙かもな」
「いや、足りるでしょ! こんだけあれば1000坪のエレベーター付きの大豪邸が建ちますよ!」
この散財コンビは一体どんな家買う気だ。まさか城か。
「はぁ、とりあえず明日不動産屋さんで、手頃な家を探してきますね。希望ありますか?」
皆に目を向けると即座に返答が帰ってくる。
「広い部屋たくさん!」
「古城」
「庭! セントバーナード!」
「世界遺産がいいわ」
「えぇ!? お城と世界遺産は無理です! それと、犬は自分で買ってください」
綺麗な庭園があって、部屋が広くて、数も多くて、歴史がありそうな建築で、豪邸。ある意味今までと似たような感じだ。折角だからフィレンツェっぽい家がいい。
「じゃぁ明日不動産屋さん行ってきますから、みんなはゆっくりしててくださいね」
「私も行く」
急にヴィンセントが同伴を名乗り出てきた。
「いや、大丈夫ですよ」
「お前一人だと足元を見られる。どのみち家主は私なのだから、私が契約しなければならないだろう」
そう言われてみればそうだ。日本人だとバレたら変に吹っ掛けられる可能性もある。
「うーん、わかりました」
「では明日は早めに起きていくぞ」
「はい!」




