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不死王の愛弟子  作者: 時任雪緒
11 インド/無人島編
115/140

11-11 無人島脱出


 そのころ、インドネシア沖の無人島。


 クリスティアーノ達が交戦状態に入ったことで、流石にヴィンセント達も焦り始めた。仲間から熱烈に求められているジョヴァンニも気が気ではないようで、ずっとソワソワしている。


 その様子を見ていたイーライが、ヴィンセントに尋ねた。


「その、アイザックという男が犯人だと言ったね。君たちを狙ったんだと」

「そうだ」

「そして君たちもアイザックも、ただの人間ではないと」

「そうだ。私達の力は見たはずだ」


 飛行機を撃墜される瞬間をイーライが目撃していた事と、イーライの感情に配慮して、彼には全てを話した。犯人の人相を確かめるために、ヴィンセントがアンジェロに変身して見せた時の、イーライの驚きようと言ったらなかったが、アイザックを目撃した後だったせいか、なんとか理解を得ることが出来ていた。


「私は、この事を公表するべきか?」

「誰が信じる?」

「誰も信じはしないだろうが、あれほどの雷を起こすほどの雲は出ていなかったし、フライトレコーダーを解析すれば、妙な点が出てくるはずだ。これは事故ではなく、事件だと」


 イーライにしてみれば、事故と事件では彼の処遇は大きく変わってくる。だから公表してしまいたい気持ちは理解できる。だが、公表されてしまってはこちらが困る。


「問題ない。気象観測衛星のデータも、フライトレコーダーも、既にレミがハッキングして内容を改ざんしている。これは事故として処理される。なんならお前の記憶も改ざんしてやるが?」


 イーライは何か言いたそうにしていたが、諦めたのか取りすがる様な事はしなかった。


「救助されても、私の操縦士人生は終わりなのだな」

「お前も死んだ事にするか?」

「いや、遠慮しておく。私には家族がいる。乗客は亡くなったのに、私が生きているのは罪深いかもしれないが、生きていることを喜んだ方がいいんだろう」

「それを言うなら、私達の方が罪深いと思うがな」


 ヴィンセントが嘲笑交じりにそう言うので、イーライは苦笑するしかなかった。


 そうこうしている内に救助がやってきた。軍用ヘリが2基、島に着陸した。軍の救助隊が下りてくると、すかさずヴィンセントが、イーライとエマの姿しか認識できないように暗示をかけた。 

 ヘリはすぐにイーライとエマと、隠れているヴィンセント達を乗せて島を飛び立った。そして、30分もしないうちにマレーシアに到着した。ヘリから降りる前に、暗示のかかっていないエマが、クライドを見上げた。


「クライド兄ちゃん、エマも一緒に行っちゃダメ?」

「エマにはばーちゃんがいるだろ? エマまでいなくなったら、ばーちゃん淋しがるぞ」


 クライドに諭されて、エマはぎゅっとクライドに抱き着いて、淋しそうな声で呟いた。


「クライド兄ちゃん、助けてくれてありがとう。ヒーローみたいで、カッコよかった」

「お、そうかぁ? ありがとなぁ」

「クライド兄ちゃんは、エマのヒーローだよ。ずっと忘れない」


 離れて、エマは涙目になってクライドを見つめた。


「エマの事、忘れないで」


 つられてクライドも涙目になった。


「エマぁぁ、忘れるわけねーだろぉぉぉ」

「クライドなに泣いてんの」


 ボニーがドライにツッコんだ。 

 先にエマとイーライが降ろされて、隙を見てヴィンセント達もマレーシアの土を踏んだ。


「ようやく大陸に着いたな。では、いくぞ」


 マレーシアに着いてすぐに、ヴィンセント達は瞬間移動でその場から姿を消した。イーライとエマは何度も振り返って、消えてしまったヴィンセント達を見送った。

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