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不死王の愛弟子  作者: 時任雪緒
11 インド/無人島編
110/140

11-6 アヴァリ一家脱出作戦


 クリスティアーノとレオナルドはようやくインドに到着した。さすがに息を切らせるクリスティアーノの横で、レオナルドが電話をかけていた。電話の相手はレミだ。


「お、レミ、着いたぜ」

「この携帯電話を衛星回線に改造してよかったって、僕は心から自分を褒めたい」

「は?」


 スピーカーフォンにしてから、レミから無人島にいること等の状況を聞いて、クリスティアーノと揃って頭を抱える。


「マジか……そっちはどうするんだ?」

「僕らは多分大丈夫。さっき軍用の小型機が島の上を飛んで行ったから、もうしばらくしたら救助が来ると思う。最初は飛行機のパーツを拝借してボートでも作ろうかと思ったけど、時間がなさそうだから、伯爵に暗示をかけてもらって脱出する予定。多分この辺りはまだ東南アジアだと思うから、そっちに行けるのにはやっぱり時間かかりそう」

「うーん、そっか、わかった」

「そっちの様子はどう?」


 レミに尋ねられて、レオナルドは千里眼を発動して、5キロ先のシャンティの屋敷を見た。しばらく視線をさまよわせると、ミナとアンジェロを地下室で見つけた。だが、見たものに驚いて、思わず視線を逸らした。


「ヤバい」

「え! なに!?」

「言えないけどマジでヤバい。マジ急いで来い」

「ちゃんと教えてよ! 全然わかんないんだけど!」

「いや無理。とにかくヤバい。もうとにかく急いで来い」


 口にするのも嫌だし、しかも子どものレミに話したくもない。ヴィンセントからは監視を頼まれたが、どう考えても監視したくもないし、それに甘んじていられないのはわかった。

 また連絡すると告げて一旦電話を切って、クリスティアーノに状況を伝えて話し合う事にした。


「家の人間は無事なのか?」

「全員2階のそれぞれの部屋にいるみたいだ。全員無事」

「家の奴らはこの状況を知らないのか?」

「いや、多分わかってる。あれがシャンティかな。女が泣きながら祈ってる」

「なるほど……脅迫でもされたか。まぁ普通の奴にはどうしようもないよな」

「状況を見て家の奴らは外に逃がした方がいいかも」

「だな。人質に取られたらたまんねぇからな。アイザックはまだ地下室か?」

「うん。死ねばいいのにマジで」

「千里眼も考え物だな……アイザックが地下にいる内に、あいつら逃がすか」

「だね。どこに集めるか……インド門だな。一目が多くて広い」

「OK。じゃぁ俺が行く」


 話がまとまると、クリスティアーノは早速残像と突風を残して消えた。レオナルドが再び電話をかけて、レミが電話に出る頃には、クリスティアーノはシャンティの部屋のバルコニーにいた。


 コンコンと窓ガラスを叩く音がして、シャンティは涙に濡れた顔を上げた。窓を見ると金髪の大柄な男が立っていて、口元に人差し指を立てて手招きしている。シャンティは静かに立ち上がって、窓を開けた。


「シャンティか?」

「あぁ、あんたは?」

「俺はクリス。アンジェロの仲間だ。お前達を逃がしに来た」

「ありがとう、クリス。でも、ミナ様を置いていけない」

「心配するな、ミナも助ける」

「本当?」

「勿論。この事を他の奴らに伝えられるか?」

「できる。ちょっと待ってて」


 シャンティは社内メールを使って、家の人間にこの事を一斉送信して伝えた。二人で静かに部屋を出て、シャンティに案内してもらいながら、2人ずつインド門まで運ぶことに成功した。

 最後にシャンティも連れて出ると、一瞬でインド門に到着したことにシャンティは驚いていたが、クリスティアーノの手を掴んで、涙に濡れた瞳で見上げた。


「お願い、絶対絶対ミナ様を助けてくれ」

「約束する」


 クリスティアーノはシャンティを安心させるように微笑むと、残像と突風を残して消えた。それを見送り、シャンティはその場に膝をついて、インド門に灯されている炎に向かって両手を組んだ。


「神様、神様、どうか私の裏切りを許してください。どうかミナ様をお助け下さい」


 涙を流しながら祈りを捧げるシャンティの傍で、仲間たちも悲痛な表情で祈りを捧げた。

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