10-10 逆ハーもアリだと思ったんです
出迎えをしたレミが連れて来たのは、黒髪に緑色の瞳をした男だった。砂埃で服が汚れて、疲労した様子だった。
だがその男はミナを見て、眩しいほどの笑顔を向けた。
「やっと会えた」
その姿に堪らなくなって、ミナは駆け寄ってぎゅっと抱き着いた。
「良かった!」
「僕も会えてうれしいよ、ミナ」
再会を喜ぶ二人の様子を見て、アンジェロが視線を逸らしたのを横目に見て、クリスティアーノが心配そうにしている。
ヴィンセントはそんな様子を眺めていたのだが、再会の感動から現実に戻ってきたミナが何やら考え込み始めたのを見て、オイオイと頭を抱える。
「ねぇヴィンセントさん」
「……なんだ」
ちょっとイライラするヴィンセント。
「決めたつもりではあったんですけど」
「先程そう言っていたな」
ミナは肩をすくめて、上目づかいにヴィンセントを見た。
「逆ハーってどう思います?」
ミナのその質問にヴィンセントは、それはそれは深い溜息を吐き、そして代わりに答えたのはアイザックとアンジェロだった。
「「あり得ない!!」」
ミナは「ケチー」とぶすくれているが、自分の愛弟子はなんでこんなにアホなのかと、今日もやっぱりヴィンセントは溜息を吐かされた。