3.
朝食を済ませ準備をすると、ありさと一緒に寮を出る。
これから向かうのは国立ANSF学園というところだ。
東京にある学園なのだが、変わった名前だ、と思うことだろう。
だが今の世界は、この学園が希望のひとつなのだ。
この学園の事を理解しようと思うなら、今の世界状況から語らなければならない。
いまある世界は、一言で言えば地獄──、といっても過言じゃない。
いまの世界の人口は約30億人。昔に比べ、約半数が地球上から消えた。
──否、変わり、死んでいった。
その理由は、突如空から降ってきた災厄が原因だ
その災厄の名は、〈ブラックレイン〉。
これが降ったところは、すべてが破壊し尽くされ、命あるものすべてが、ある化け物に遺伝子レベルで変化する。
その化け物は〈ネブラ〉と呼ばれている。
強靭な漆黒の肉体と、おぞましい赤い瞳が特徴で、人だった頃あった知性は消え、ただ目の前にあるものを破壊するだけの、恐ろしい怪物になる。
そして一番の変化は、なによりその強さだ。
普通の兵隊はもちろん、戦車などを用いても倒しきることのできない、地上最強の生命体、それが〈ネブラ〉だ。
1980年8月14日のアメリカに、初めて〈ブラックレイン〉が降った。
それ以降、世界各地で2008年現在も降り続けている。
だがそんな現状に対し、なにもしない首脳たちがいるわけがない。
その対抗策が〈ANSF〉なのだ。
アンチ.ネブラ.スペシャル.フォース(対ネブラ用特殊部隊)は、文字通り、対ネブラ用に世界中が、一致団結して作った超精鋭部隊だ。
だが、これに入るにはある条件を満たさないといけない。
まあ、それはおいておこう。
あまり語りたくないことだから……。
──ともかく、そのある条件から、ANSFの人員は少ない。
しかし、それではだめだと言うお偉い政府さんたちが作ったのが、いま俺達が向かおうとしている〈ANSF〉学園だ。
ここは〈ANSF〉にはいれる可能性を持っている者に、戦闘技能はもちろん、一般科目からいろいろな特殊技能を教え、優秀な〈ANSF〉の隊員を作り出す学園なのだ。