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さっちゃんがお風呂に入ってから時間が長く感じられた。
「待つのって時間が長く感じられるよね~。さっちゃんは私を待ってる間どう思ってたんだろ。訳がわからないし、落ち着かないし、お互い知らない人同士だし…。」
迷惑を承知で私はさっちゃんに必死にしがみついたけど、こんな事になるとは思わなかった。
私的には、こんなにすぐに元に戻ると思ってたし、戻ったら説明も出来ないから黙って出て行こうとも思ってた。
さっちゃん本当にゴメン…。
そういえば、神様は自在に猫になれるって言ってたよね。
1人の時に試してみよう…。念じてみればいいのかな?
ほんの少し『猫になりたいかも』と頭によぎっただけで、呆気ない程簡単に猫になれた。
『今猫になりたい訳じゃなかったのに!!これは思ったより危険かも…。ちょっと猫に戻りたいと思っただけで猫に戻っちゃうなんて…。』
さっちゃんのパジャマに埋もれてしまっているので、人間に戻る時は注意が必要だ。
しかし、さっちゃんのパジャマはやっぱりさっちゃんの匂いがした。
「うにゃ…(何だか安心するなぁ…。)」そのまま、さっちゃんが出てくるまで眠ってしまった。
sideさっちゃん
風呂から上がると人影がなかった。
やっぱりアレは幻か何かの類だったのかと思ったら、床に俺のパジャマと猫がいた。
…何故に猫に戻ってる?
寝ている彼女を起さないように優しく抱きかかえソファーへ降ろそうとした時に目を覚ましたらしく、俺の方を向くなり「うにゃ!」と言いながらペコペコと何度もお辞儀をした。
可愛いなぁ!!
頭を撫でて、頬擦りしたくなる。
そして、彼女はどうやら謝っているようだけど…。
寝てた事?猫に戻った事?どれだろう?
彼女を降ろすと、パジャマを口に咥えて脱衣所に向かった。
脱衣所から出て来た時には猫の姿ではなく人間の姿の彼女が出て来た。
うん。やっぱり現実なんだなぁ。
「すみません…。ちょっと猫に戻りたいなぁ。と思ったら猫になっちゃっいまして…。」
恥ずかしそうにしている彼女を見ながら、ちょっと笑ってしまった。
試しに猫になってみて、そのまま疲れて寝てしまったと言う所かな?
まだ濡れたままの髪の毛をガシガシ乱暴に拭きながら彼女をソファーへ促した。