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さっちゃんはプレートにご飯を乗せてソファーまでやってきた。
「ごめんな。カリカリと猫缶は明日用意するから、今日はこれ食べてな?」
そう言うと、少し冷めた『ねこまんま』が出された。
さっちゃん様・・・カリカリや猫缶より私はこちらで充分でございます!
そんな思いを込めて、さっちゃんの手に激しくスリスリしてみた。
「そんなに嬉しかったか?」そう言ってさっちゃんは私の頭を撫でる。
「うにゃん♪」嬉しさの余り思わず語尾がはねてしまった。
凄い勢いで『ねこまんま』を完食し一息ついた所で尿意が!!
そわそわしていた私に気づいたのかさっちゃんは慌てた。
「しまった…。トイレの事すっかり忘れてた!!新聞紙で作るから待てよ!!」
新聞紙で作るって…。いや、猫なら問題ないさ!切り裂いた新聞紙好きだし、そのままトイレじゃなく遊び場なんかにしちゃえるしね。しかし、中身は25歳の女なんです!無理です!
新聞紙を裂き始めているさっちゃんに「にゃん」と声をかけ、先ほどさっちゃんが入っていたトイレの前に座り爪を出さずにタシタシと扉を叩く。
「・・・そこを開けろって・・・?」
「にゃおん」
首を傾げながらさっちゃんはトイレのドアを開けた。
スルリとトイレに入り頭でドアを閉めた。
途中で開けられたら嫌なので、しばらく待ってみたのだが開けられる気配はないのでそのまま済ませた。
しかし、猫の姿でお尻を拭くのが大変だぁ。
でも、ちゃんと水も流せたし良かったぁ!
えっと…閉めたら開けないと駄目なんだよね…。
扉の前で「にゃおん」と鳴いてみる。
すると、さっちゃんが扉を開けてくれた。
さっちゃんを見上げると、不思議な物を見るような顔をしていた。
…判るよ…。私がさっちゃんの立場でも同じような顔すると思うもん。
猫って訓練で人間用のトイレでしたとしても水流したり扉しめたり云々はしないもんね。
さっちゃんの足にスリより「変わった猫だなぁ・・・」と抱き上げられ顔を近づけられた。
その時に鏡があったので見てしまったのだが、キレイな白い毛並みに青い瞳の猫。
私が人間の姿で鏡に映る猫をみたら『美人さんだねぇ~!』と言いながら触ろうとするだろう。
呆然と鏡を見ていたらさっちゃんの顔が頬っぺたにあった。
「なんかシャンプーの匂いがする」
驚きました。私…。耳元でさっちゃんの低く優しい声と頬っぺたの温もり。
ドキドキしてジタバタもがいたら唇同士がくっつきました。
…この場合は逆セクハラってやつになるのかな…?