プロローグ
目が覚めて最初に目に映った物。
みずみずしくプルプルのピンクの肉球。
『猫なんて私の家にいないはずなのに?』と思いながらプルプルの肉球をみたら触りたくて手を動かす。
するとそのピンクの肉球も動く。
・・・あれ・・・?
慌てて辺りを見渡すとお約束通り異世界。
と言う訳ではなく、現代の日本そのものだ。
だが、自分の部屋で寝ていたはずなのに目が覚めたのはどこかの屋根の上だった。
とりあえず、声を出すも『にゃ~ん』と言う可愛い猫の鳴き声。
本格的な猫になった模様。
『あぁ、夢だよね・・・。とりあえず、夢から覚めるまで猫として満喫しよう・・・』
と言っても猫になったからと言ってやりたい事があるはずもなく夕方あたりまでゴロゴロしていたのだが・・・。
『・・・そろそろ覚めてもいいんじゃないの・・・?』
まったく夢から覚めない所か意識がハッキリしている。
髭をひっぱってみてもやっぱり痛い・・・。
そこでやっと慌てた。
『ちょっと待て!昨日、ゴタゴタ揉めた会社とやっとさよならできて、3ヶ月くらいのんびり職探ししようと思ってた矢先にそんな・・・!』
とにかく屋根の上から降りる事にしたのだが、普通の猫なら下りれるだろう。しかし、中身が人間なので怖い。
「にゃおん!!にゃおん!!」
助けを求めて鳴いているのだが、猫だからこの高さで降りれないなんて思わないのか『うるさい猫がいる』と言う視線だけで終わってしまう。
子供だけが「お母さん、猫ちゃん降りれないのかなぁ?」と聞いてる。
当然、お母さんの答えは「猫ちゃんはね、足場のある屋根なら降りれるのよ」と優しく答えている。
本当に困った・・・