何のジャンケンか分からずに参加
何のジャンケンか分からずに参加してきたが、このジャンケンはこいつに誰が罵倒するかを決めるジャンケンなのだ。
むかしむかし、あるところに、大女優がおりました。若い頃は確かに美しかった大女優ですが、寄る年波には勝てないもので、だんだんと、昔のように恋愛ドラマの中心であるということはなくなっていきました。
むしろ、若い女をいじめる女上司役や、新妻をいたぶる姑の役が増えてきたのでした。
しかし、大女優は、プライドが高いので、普通にもうババアのくせに、「シワをもう少し増やしたほうが良くないかしら?」などと言ってわざわざババアっぽいメイクをさせて、メイクさんや現場監督をムカムカさせるのでした。
さて、いよいよこの日がやってきました。
今日は、大女優に、「そのままでいけますよ」と誰が言うかを決めるじゃんけん大会です。
最初は、負けた人が言うことになりそうでしたが、「それでは、まるで罰ゲームのようだから、一番勝ち残った人が言うことにしよう」と誰かが言いました。
今日は、監督をはじめ、大道具、小道具、美術、役者、メイク、照明と、全員が集まりました。
この中でも、照明さんは、参加するのを一番嫌がっていましたし、中でも最近入った見習いの照明さんの女の子は、めちゃくちゃ嫌がっていました。
さて、じゃんけん大会が始まりました。
このじゃんけん大会は、総勢30人でやります。
普通は、何組かに分かれてやらないと、いっせいにじゃんけんしても、あいこが続いて、なかなか決まらないものです。
しかし、このじゃんけん大会は、みんなであいこの時に「おお〜!」とか言って楽しむ大会なので、30人でいっぺんにやります。
みんな、今日は一日空けています。
最初はグー!!
じゃんけんポン!!!
おお〜!!
じゃんけんポン!!!
おお〜!!!!
その時です。
「それ、なんのじゃんけん?わたしも参加するわ」
なんと、大女優の声がしました。
みんなの顔がひきつります。
「なんのじゃんけんなの?」
今日は、大女優には、何も伝えていないはずなのに!!
どうして??全員に戦慄が走りました。
大女優は、時々、真剣に練習するために、テレビ局にやってきて、鏡の前で役作りの研究をしたりしていたのです。
「まあ、いいわ。勝てば良いのね。勝ったらなんのじゃんけんか教えてね」
こうして、大女優はじゃんけんに参加しました。
じゃんけんポン!
「やったわ!なんのじゃんけんなの?」
じゃんけんポン!
「勝ったわ!なんのじゃんけんなの?」
じゃんけんポン!
「優勝だわ!なんのじゃんけんなの?」
大女優は、あっという間に優勝してしまいました。
「で、これは、なんのじゃんけんなの?」
すさまじく重たい空気が流れています。
このあと、大女優は、みんなに仲良くぶち殺され、この五時間後、海の底に沈みましたとさ。おしまい。
芸人、ネタ作家、短編小説家。“理系の変な奴”は自分で髪の毛を切ります。それが私。ついでの用事が二個ないとお墓参りに行かないです。
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